テーマの概要
再配達削減に向け、置き配の標準化と物流大綱による多様な受取方法の普及が進められています。
宅配便の再配達削減と多様な受取方法の推進は、物流効率化および配送員の労働環境改善を目的とした政策課題です。近年、EC(電子商取引)の拡大に伴い宅配便の取扱個数が急増する一方、受取人不在による再配達が物流業界の大きな負担となっています。こうした状況を踏まえ、国土交通省は置き配(不在時に指定場所へ荷物を置く配送方法)を宅配の標準サービスとして追加する方針を固め、貨物自動車運送事業法に基づく標準運送約款への位置づけを進めています。また、改正物流効率化法の全面施行に合わせ、荷主等に対する規制を徹底するとともに、次期総合物流施策大綱(物流大綱)において、多様な受取方法の普及・浸透や消費者への啓発・広報活動を盛り込む取り組みが進められています。議会においては、再配達削減の必要性については与野党ともに共通認識を持ちつつ、置き配の安全確保や消費者の行動変容をいかに促すかが論点となっています。
背景・現状の問題点
AIによる解説日本の宅配便市場は、EC(電子商取引)の急速な拡大を背景に、取扱個数が年々増加しています。国土交通省の統計によれば、宅配便の取扱個数は50億個を超える水準に達しており、物流業界は深刻な人手不足と業務過多に直面しています。こうした状況の中で特に問題となっているのが「再配達」です。受取人の不在により荷物を届けられなかった場合に行われる再配達は、全配送件数の約1割以上を占めるとされており、配送員の労働時間の増大やCO₂排出量の増加、燃料コストの上昇など、物流業界全体の効率性を著しく低下させています。さらに、2024年問題としてトラックドライバーに対する時間外労働の上限規制が適用されたことで、物流業界の輸送能力が制約される懸念が高まっており、再配達削減は喫緊の課題となっています。国土交通省はこうした状況への対応として、不在時に指定場所へ荷物を置く「置き配」を宅配の標準サービスとして貨物自動車運送事業法に基づく標準運送約款へ位置づける方針を固めました。また、改正物流効率化法の施行に伴い荷主等への規制強化も進められています。一方、置き配の普及には盗難・紛失リスクへの対応や、消費者の受取行動の変容促進という課題も残されており、政策的な取り組みと社会全体の意識変革が求められています。
争点(対立軸)
置き配の安全確保と標準化の是非
置き配を宅配の標準サービスに追加する方針が国交省により示されていますが、荷物の盗難や紛失といった安全面のリスクをどのように担保するかが論点となっています。再配達削減の効果を認めつつも、利用者保護の観点から安全確保策の整備が求められています。
消費者の行動変容促進の手段
再配達削減を実現するためには、事業者側の対応だけでなく消費者の受取行動の変容が不可欠です。啓発・広報活動や多様な受取方法の浸透をどのように進めるか、また規制と普及促進のバランスをどう取るかが議論されています。
