テーマの概要
預貯金通帳の不正譲渡への罰則強化を柱とする犯収法改正案が提出されています。
犯罪収益移転防止と預貯金通帳対策は、犯罪による収益の移転を防止するための法整備に関する議論です。近年の犯罪による収益移転をめぐる状況の変化を踏まえ、預貯金通帳の不正譲渡等に対する罰則を引き上げることを中心とした「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の一部改正が提案されています。預貯金通帳が不正に譲渡・売買される事案は、振り込め詐欺やマネーロンダリングなどの犯罪に悪用されるケースが増加しており、現行の罰則では抑止力が不十分とみられることが法改正の背景にあります。政府提出の法律案として国会に提出される予定であり、罰則強化を通じて不正な通帳流通を抑制し、犯罪収益の移転防止を図ることが主な目的とされています。
背景・現状の問題点
AIによる解説犯罪収益移転防止は、マネーロンダリングや詐欺などの組織犯罪に対抗するための重要な政策課題です。日本では2007年に「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(犯収法)が施行され、金融機関等に本人確認義務や疑わしい取引の届出義務が課されています。しかし近年、振り込め詐欺(特殊詐欺)やオレオレ詐欺などの被害が深刻化しており、その手口の一つとして他人名義の預貯金通帳・キャッシュカードの不正売買・譲渡が広く利用されています。警察庁の統計によれば、特殊詐欺の被害額は年間数百億円規模に上っており、犯罪グループが「口座売買」を組織的に行うケースも確認されています。現行法では通帳等の不正譲渡に対する罰則が設けられているものの、その水準が犯罪の深刻さに見合わず、抑止力として不十分との指摘があります。また、インターネットやSNSを通じた口座売買の勧誘が若年層を中心に広がっており、買い手側だけでなく売り手側も犯罪加担者となるリスクへの社会的認識も課題となっています。こうした状況を踏まえ、罰則の引き上げを軸とした法改正を通じて不正な通帳流通を抑制し、犯罪収益移転防止の実効性を高めることが求められています。
