テーマの概要
大規模化と中小・小規模農家の存続を両立する農業融資体制のあり方が問われています。
本テーマは、農業政策における融資体制のあり方として、大規模農業経営の推進と中小・小規模農家の存続をいかに両立させるかという論点を巡る議論です。農業の効率化や競争力強化の観点から大規模化を進めることの重要性は広く認識されている一方、中山間地などの条件不利地に多く存在する中小・小規模農家が果たす役割や、その存続を支える必要性も強調されています。発言者らは、いずれか一方に偏った支援ではなく、大規模化と中小・小規模農家の維持という両面を視野に入れた満遍ない資金供給の重要性を訴えています。農業の再構築・再発展を図るうえで、こうした多様な経営規模に対応できる融資体制の整備が求められており、政策として両立を実現する仕組みづくりが課題となっています。
背景・現状の問題点
AIによる解説日本の農業は、担い手の高齢化・後継者不足・農地の分散・耕作放棄地の増加といった構造的課題を抱えています。こうした課題への対応として、農地の集積・集約化や法人経営の育成など、大規模化・効率化を促進する政策が推進されてきました。一方、国土の約4割を占める中山間地域では、地形的制約から大規模化が困難であり、そこに立地する中小・小規模農家が多数存在します。これらの農家は経済的規模こそ小さいものの、棚田の維持や水源涵養・土砂災害防止といった多面的機能を担っており、地域社会の維持にも不可欠な存在です。農業金融の観点では、収益性・返済能力を重視した融資審査が大規模経営に有利に働く傾向があり、中小・小規模農家は必要な資金調達が難しい状況に置かれることが少なくありません。農林水産省や農業協同組合系統金融機関による政策融資制度は整備されているものの、大規模化推進と中小・小規模農家の存続支援という二つの政策目標を同時に達成できる融資体制の構築は、依然として重要な政策課題となっています。
