議事録データ出典: 国会会議録検索システム(国立国会図書館)に掲載されている公式議事録を使用しています。
本会議は、参議院ODA調査派遣第一班(ベトナム・マレーシア・タイ)、第二班(インド)、第三班(フィジー・トンガ)、第四班(セネガル・コートジボワール)の各団員による現地視察報告に基づき、外務省・JICA出席の下でODAの在り方について意見交換を行った。
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ODAの国民への説明責任と広報
なぜにODAが必要かという原点の考え方というものだけはお互いに共有できるような、そんな流れを築き上げていく必要があるかなというふうに思っております。
厳しい財政状況の下、ODA予算を維持拡大していくためには、国民の理解を得るための一層の努力が必要です。
これはもう丹念に日本のちょっとした技術がすごくまだまだ大きく世界に貢献できるということをやはり丁寧に私どもも含めて説明をしていき、あるいは、このODAの相手国から日本にも来ているわけですから、そういう留学生なんかとのまた意見交換の場も積極的に設ける等を通じて、日本ができる国際貢献というのはやっぱり引き続き国内でもしっかり訴えていかなければいけないんだろうと思います。
まずは我が国の国民の皆さんに分かっていただく、これは本当に重要なことだと思いますので、実績も含めて、これ外交防衛委員会の方でもお話はさせていただいておりますけれども、そこも含めてしっかりと伝えていくことが大事かなというふうにはすごく感じているところでございます。
言わばそのJICAが日本のシンボルとして活躍しているのだということを、私どもはJICA事務所、大使館と協働して各国の皆さんに発信してきてまいるつもりでございます。
インドにおけるエネルギー分野の課題に関連して、若松謙維議員(賛成寄り)がインドの現状を報告しました。「経済発展を遂げ、国民全体の生活水準が上がった場合、インドでは食料やエネルギーの更なる消費拡大が見込まれる。これを国内で賄うことができるよう、農業の生産性と持続可能性の強化や多角化、再生可能エネルギーの普及やエネルギー効率化への支援を強化することも重要」と主張しました。また、オクラ下水処理場における汚泥由来ガスを活用した発電、デリーメトロやムンバイメトロにおける電力回生の取組を視察し、「今後も可能な限り導入するよう努めるべき」と述べました。具体的な政策決定や反論はなく、現地視察を踏まえた所見として提示されました。
再生可能エネルギーの普及やエネルギー効率化への支援を強化することも重要です。
若松謙維議員(賛成)がインド視察の報告の中で、グローバルサウスとの連携強化の重要性を主張しました。「インドは、いわゆるグローバルサウスの中心国としてますます存在感を高めている」と述べ、ODAを通じたインドとの連携強化を訴えました。インドがFOIP実現において「欠くことができない非常に重要なパートナー」とも位置づけ、グローバルサウスへの対応として「ODA開始から七十年の経験を生かし、我が国にも援助を受ける開発途上国にも裨益する効果的なODAの在り方の検討に一層注力することが求められる」と述べました。反論等はなく、具体的な政策決定も示されませんでした。
今後もODAを懸け橋としてインドとの連携を更に強化し、FOIPの推進力として協働していくことが望まれます。
人材育成支援はODAの柱として、複数の議員・参考人から重要性が強調されました。宮路拓馬外務副大臣(賛成)は「人材育成支援は引き続き我が国のODAの柱としてしっかりと進めてまいりたい」と明言しました。山本順三議員(賛成)は「人材育成に関する支援に当たっては、施設を整備して終わりではなく、社会経済情勢の変化や技術の進展に応じて指導者の育成や機材の更新などを継続していくべき」と主張しました。石垣のりこ議員(賛成)はベトナムの事例として、両国の技術協力や人の交流を含む人材育成連携の必要性を述べました。石月英雄外務省国際協力局長(参考人)は「TICAD9も見据えて、この人材育成事業しっかり継続するとともに、更なる協力の可能性についても模索していきたい」と表明しました。TICAD9に向けた人材育成の継続・強化の方向性が全体的に共有され、特段の反対意見はありませんでした。
この人材育成支援というのは引き続き我が国のODAの柱としてしっかりと進めてまいりたいと考えております。
人材育成に関する支援に当たっては、施設を整備して終わりではなく、社会経済情勢の変化や技術の進展に応じて指導者の育成や機材の更新などを継続していくべきというふうに考えます。
我々、八月にTICAD9、アフリカ開発会議を行いますけれども、これも見据えて、この人材育成事業しっかり継続するとともに、更なる協力の可能性についても模索していきたいと考えてございます。
両国が中長期的に技術協力や人の交流を含めて連携し、開発協力を進めることが必要と考えます。
ODAの戦略的活用と効率化について複数の観点から議論が行われました。石垣のりこ議員(賛成寄り)は「ニーズを見極めた上で、技術協力、円借款及び海外投融資等を戦略的に検討し、国民に理解を得ることが重要」と述べました。若松謙維議員(賛成寄り)は「インドでは膨大な人口を抱えるため、莫大な資金を投じても効果が全国民には行き渡らず限定的になってしまうという側面もある。インドにおける制度の改善を促すODAに力を入れるほか、国際機関や民間資金との連携も有効」と主張しました。また、アンタイドが原則となっているインドにおいて、日本企業が国際競争入札で受注しやすくなるための現実的・戦略的対応の必要性も指摘されました。具体的な政策決定はなく、提言的な内容にとどまりました。
気候変動対策および関連技術支援に関して、二名の議員から発言がありました。江島潔議員(賛成)はフィジー・トンガ視察を踏まえ、再生可能エネルギー導入支援として風力発電システムの事例を紹介し、「気候変動対策の関連で注目される再生可能エネルギー導入支援」の重要性を強調しました。また、準天頂衛星「みちびき」を活用した災害危機管理通報サービスの導入検討についても言及し、日本の知見共有の重要性を訴えました。石垣のりこ議員(賛成寄り)はベトナムの気象水文総局視察を踏まえ、「日本の経験、技術を生かした支援によりベトナムの防災・災害対処能力が強化され、さらにメコン地域諸国をベトナムの気象分野の技術によって導いていくことになれば、地域全体の被害軽減にも資する」と評価しました。いずれも現地視察を踏まえた所見として述べられ、反論は出ませんでした。
法の支配に基づく国際秩序の維持とODAの関係について、江島潔議員と石垣のりこ議員が発言しました。江島潔議員(賛成)は「今日、自由や民主主義、あるいは法の支配に基づく国際秩序が重大な挑戦に直面する中、我が国は自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、開発協力も戦略的に行っていくべき」と主張し、海洋法に関する人材育成支援や島嶼国との緊密な連携も提言しました。石垣のりこ議員(賛成)はベトナム海上警察への船舶供与の視察を踏まえ、「法の支配に基づく自由で開かれた秩序をつくるため両国が理念を共有するとともに、IUU漁業の対策強化など、海の安全確保のための支援強化の重要性を改めて認識した」と述べました。また、マレーシアにおける海上保安分野での協力についても「ルールに基づく海洋秩序の維持につながるものであり、更なる協力強化が期待される」と評価しました。反論はなく、両議員とも同方向の意見を表明しました。
FOIPの実現に向けたODAの戦略的活用について、複数の議員が一致した見解を示しました。江島潔議員(賛成)は「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、開発協力も戦略的に行っていくべき」と明言し、太平洋島嶼国への支援においても中国の影響拡大を念頭に置きつつ、法の支配に基づく共通理解の深化を訴えました。石垣のりこ議員(賛成)は「自由で開かれたインド太平洋、FOIPを実現するためにも関係を強化し、地域全体の安定と繁栄を促進する様々な取組についてODAを戦略的に活用していくことが重要」と述べ、ベトナムとの連携強化の必要性を主張しました。若松謙維議員(賛成)はインドについて「FOIPの重要性について認識を共有しており、これを実現する上で欠くことができない非常に重要なパートナー」と位置づけ、ODAを通じた連携強化を訴えました。反論はなく、FOIP推進におけるODAの戦略的活用について全体的な合意が形成されました。
各班から、人材育成・技術協力・法の支配に基づく支援・FOIPへの戦略的活用・国民への情報発信強化といった観点から、現地の実態に即した多岐にわたる提言が示された。外務省・JICAはこれらの報告を踏まえ、TICAD9に向けた人材育成事業の継続・強化や、ODAの戦略的活用に引き続き取り組む方針を示した。ODAの重要性を国民に広く理解してもらうための情報発信強化については、与野党を超えて共通の課題認識が示された。
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