参議院・政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会において、TICAD9(第9回アフリカ開発会議)に向けた日本の開発協力の在り方について、高橋基樹・池上甲一・小笠原由佳の3名の参考人から意見を聴取し、委員による質疑が行われた。
本会議での議論の要点をAIが要約したものです。
JICAの役割に関する質疑において、高橋基樹参考人(京都大学・神戸大学名誉教授)は、JICAが欧米や韓国・東南アジア等の新興ドナー国をまとめ、多国間をつなぐリーダーとしての役割を果たすべきと主張しました。具体的には、中国とヨーロッパ諸国がアフリカのある国をめぐって対話する際に日本が仲介役を担うことや、ドナーになりつつある東アジア諸国を日本がまとめていくことへの期待を表明しました。
韓国や東南アジアの国々もドナーになりつつありますから、そういった国々を日本がリーダーとしてまとめていくということがアフリカに対してできるのではないか。
アフリカ人材の日本への留学受入れ拡大
JICAへの期待に関する議論において、小笠原由佳参考人(インパクト志向金融宣言事務局長代理)は、民間企業の海外進出支援においてJICAがネットワーク提供やマッチングといった「かゆいところに手が届く」支援が可能であると肯定的に評価しました。一方、池上甲一参考人(近畿大学名誉教授)は、JICA本部・現地事務所・プロジェクト専門家の間でスタンスの違いが目に付くと指摘し、本部が成果の見えやすい事業を優先しがちになる傾向を問題として挙げ、相互のポジション理解と「風通しの良さ」、そして方針の共有が重要と主張しました。
ODA大綱の方向性をめぐる議論において、池上甲一参考人は、現行大綱がポピュリズム的批判(「日本人の税金を途上国に流している」等の排外主義的批判)に過剰迎合し、国益重視に偏っていると批判しました。地球益(グローバルなインタレスト)への貢献が長期的な国益につながることを大綱に「きちんと併記していただきたい」と訴えました。高橋基樹参考人は、ODAの本義は「日本国憲法に書いてあるとおり、国際社会における名誉」であり、「人間としての共感のために援助をするということは忘れてはならない」と述べ、物質的な国益優先の姿勢を戒めました。
TICAD9の意義に関する議論において、臼井正一委員(自民党)は、TICADプロセスを通じてアフリカ諸国が経済成長・健全発展するための協力は「平和で安定し、繁栄した国際社会の構築に資する大変重要な取組」と明言しました。高橋基樹参考人は、USAIDの解体等により欧米が援助を縮小・撤退する中でアフリカが孤立しつつある現状を指摘し、「日本がもう一度初心に返って、原点に返ってアフリカを支援するというのは大変に意義の高いこと」と主張しました。また、TICAD1開催時の精神を再確認することの重要性も強調しました。
アフリカのインフォーマルセクターの実態と支援の在り方について、高橋基樹参考人はケニアでの現地調査に基づき、路傍で活動する零細業者が高品質なソファー等を製造するなど活発な経済活動を行っていると紹介しました。池上甲一参考人は、地方中小都市でインフォーマルビジネスが盛んになっており、地方農村の若者を吸収する場となっているとして、農産物加工等を含む小規模ビジネスへの開発援助が「大きな果実を生み出す」と主張しました。高橋参考人は、インフォーマル部門の力を生かす政策を現地と共に作り、知識を共創してフォーマル化を支援すべきと述べました。
アフリカにおけるスタートアップの現状について、小笠原由佳参考人は、南アフリカやケニアでは官民連携でスタートアップを推進する政策が打ち出されており、こうした動きが増えていると肯定的に評価しました。一方で、アフリカ54か国全体ではなく局地的な状況であるとも述べました。高橋基樹参考人はスタートアップ志望の若者はケニア等に多く見られるものの、多くが失敗するとして、日本とアフリカの投資環境の違いを踏まえた訓練の必要性を条件付きで言及しました。
アフリカにおける製造業の可能性について、浜口誠委員(国民民主党)の質問に対し、高橋基樹参考人は、安定的な外貨獲得と広範な雇用創出のためアフリカの製造業発展が将来的に重要と主張しつつ、現状では人材育成が圧倒的に不足していると指摘しました。また、日系企業が進出する際には社内公用語の問題を解決し、アフリカ人材が就職できる環境整備が必要とも述べました。浜口委員は、マーケットが拡大すれば日本企業の現地製造マインドも高まるとして、製造業進出の可能性に肯定的な見方を示しました。
アフリカの食料安全保障をめぐる議論において、池上甲一参考人はサブサハラ・アフリカの最重要課題は貧困・格差の是正と飢餓の克服であると明言しました。ウクライナ侵攻後の小麦輸出停止でアフリカが直ちに困窮した事例を挙げ、輸入穀物依存からの転換と、伝統的な根茎類等を地産地消的に活用できるよう加工技術を普及させることが重要と主張しました。紙智子委員(日本共産党)は、植民地支配以来の換金作物依存構造からの反省を踏まえ、地産地消・国内生産・国内消費を重視する支援の視点が必要と主張しました。
アフリカ人材の育成と留学受入れに関する議論において、浜口誠委員は、アフリカ人が日本で留学・就職しインパクト投資のリーダーになることが投資拡大の原動力になるとの考えを示しました。小笠原由佳参考人はこれに賛同し、現地出身者が日本語も習得して企業に入り活躍することが望ましいと評価しました。高橋基樹参考人は、アフリカ人材を日本の大学で育てて高等教育を充実させることが必要と主張するとともに、日系企業が社内公用語の問題を解決し、アフリカ人が就職しやすい環境を整えることも重要と述べました。
アフリカ向けインパクト投資の促進をめぐり、小笠原由佳参考人は、日本からのアフリカ向けインパクトファイナンスは統計上約1%と非常に少ないと指摘し、金融機関・事業会社の取組を促進する必要があると主張しました。浜口誠委員は、アフリカへのノウハウとネットワークを持つ商社を中心に銀行等も加わってインパクト投資を増やすことを後押ししたいと明言しました。小笠原参考人も商社の役割に賛同しつつ、政府主導ではなく本気でやりたい主体が集まることの重要性を指摘しました。
小笠原由佳参考人は意見陳述において、開発援助とインパクトファイナンスを連携させることでより大きな開発効果を生み出すことは可能であると主張しました。ただし、現時点ではその連携が十分に実現できていないとも述べました。そのために必要な取組として、公的機関によるリスクマネー供給、民間金融機関への情報・ノウハウ提供、そして官民が率直に意思疎通できるエコシステムの構築を提言しました。
開発援助とインパクトファイナンス、これを連携させることでより大きな開発効果を生み出すことというのは可能であるというふうに考えております。
インフラ支援の質に関する議論において、高橋基樹参考人は、「質の高いインフラ」とは単に技術的な安全性や機能性にとどまらず、住民参加や科学的評価を原則として取り入れた民主的手続を伴うものであるべきと主張しました。日本国内で確立しているこうした原則をアフリカを含む援助先にも適用し、新興国への反省を促す模範をJICAが示すことを期待すると述べました。
やはり、例えばアセスメントの原則として住民参加があり、科学的な評価がある、そういったものをきちんと取り入れていって、インフラに関しても民主的な手続をやっていく、これが日本の原則ですから、それを基本的にアフリカだろうとどこだろうと適用していく、そのことによって新興国に反省をしてもらうということが恐らく必要だろうと思います。
JICAへの期待に関する議論において、高橋基樹参考人は、青年海外協力隊員は現地で同じ生活をしながら苦労を経験しており、スタートアップの主人公になれる可能性があると指摘しました。しかし、多くの隊員が帰国してしまう現状を問題視し、協力隊OBを主な対象としてアフリカでのスタートアップ成功を目指す戦略的な人材育成をJICAが行うべきと主張しました。
彼らこそ非常に苦労をして、あちらの国で、一部を除けばあちらの方と同じ生活をしている。そういう人こそスタートアップの主人公になれる可能性があるわけですが、多くの人は帰ってきてしまう。彼らを主な対象として、いかにアフリカでスタートアップの事業を成功させられるか、そういった人材育成を戦略的にもっともっとやっていただきたいというふうに思います。
農業分野の開発援助の在り方をめぐる議論において、池上甲一参考人は、従来の開発援助が農民を「援助の客体」として扱い、外来技術の受容を迫ってきた結果、援助終了後に元に戻る例が多かったと批判しました。農民を援助事業の主体・主役として位置付け、アジェンダ設定の段階から共に考えるアフリカ流の小農発展を目指す協力援助の模索が最重要課題と主張しました。紙智子委員は、国連が定める「家族農業の10年」の趣旨を踏まえ、家族農業のなりわいを発展させるための支援が必要であると主張し、池上参考人もこれに賛同しました。
日本企業のアフリカ展開に関する議論において、臼井正一委員は、豊富な天然資源と14億人超の市場を持つアフリカとの関係強化が日本企業のビジネスチャンス拡大と経済安全保障に資すると明言しました。高橋基樹参考人は、日本とアフリカの産業構造の乖離があるとしつつも、耐久消費財や資源採掘用制御機器等の分野での投資推進が重要と指摘しました。一方で、インドや東南アジアの日系工場からの輸出が既にかなり多い実態も紹介し、重点的に支援すべき分野を絞り込むメッセージを政府が発することが望ましいとも述べました。
高橋基樹参考人は、知識共創が今後の日本とアフリカの関係において最も重要になると強く主張しました。アフリカでは外来知への依存が強まっており、自らの在来知を卑下する若者も見られると指摘し、日本の大学が客体としてではなく「主体として」アフリカの開発プロセスに関わることが必要と述べました。具体的には、日本の大学とアフリカの大学の研究室が信頼関係を構築し人材を育て合うこと、またインフォーマルセクターのフォーマル化をめぐる知識を双方向で共創することの重要性を強調しました。
私は、知識共創ということがこれから日本とアフリカの間でとても重要なことになっていくと思います。
アフリカにおける製造業・農業・インフォーマルセクターの実態や食料安全保障の課題が参考人から詳述され、ODAの国益偏重への懸念や地球益・相手国ニーズとのバランスを求める意見が示された。インパクトファイナンスと開発援助の連携促進、家族農業・小農を主体とした支援、知識共創・人材育成を通じた対等なパートナーシップの構築が、TICAD9に向けた主要な政策課題として浮き彫りになった。
この要約はAI(自然言語処理モデル)を用いて生成しています。 要約の精度向上に努めていますが、解釈の違いや誤りが含まれる可能性があります。
必ず元の議事録本文もご確認ください。
アフリカにおける製造業・農業・インフォーマルセクターの実態や食料安全保障の課題が参考人から詳述され、ODAの国益偏重への懸念や地球益・相手国ニーズとのバランスを求める意見が示された。インパクトファイナンスと開発援助の連携促進、家族農業・小農を主体とした支援、知識共創・人材育成を通じた対等なパートナーシップの構築が、TICAD9に向けた主要な政策課題として浮き彫りになった。
○委員長(石井浩郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(石井浩郎君) 政府開発援助等及び沖縄・北方問題対策樹立に関する調査のうち、第九回アフリカ開発会議(TICAD9)に向けた我が国の開発協力の在り方に関する件を議題とし、参考人の皆様から御意見を伺います。 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいた...
○参考人(高橋基樹君) 高橋でございます。 アフリカの経済の研究を始めましてから三十六年になります。その経験に基づきまして、事務局から御連絡をいただいた御下問について、私なりにお答えをさせていただきたいと思います。 お配りしました資料の一枚目の下段にございますように、意見陳述の内容は、アフリカの開発課題の現状、それからTICADの今日的な意義と評価、そして三番目に日本に期待される役割等、そ...
| モデル | Claude (Anthropic) |
|---|---|
| 要約方式 | 抽出+要約 |
| 対象範囲 | 議事録 全文 (約49,391文字) |
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