議事録データ出典: 国会会議録検索システム(国立国会図書館)に掲載されている公式議事録を使用しています。
2025年4月23日開催の国家基本政策委員会合同審査会(いわゆる党首討論)において、立憲民主党・野田佳彦代表、日本維新の会・前原誠司共同代表、国民民主党・玉木雄一郎代表の3氏が石破茂首相と、トランプ政権の関税政策への対応、自由貿易体制の維持、日米安保の双務性と憲法改正、ガソリン暫定税率廃止、年金制度改正など国家の基本政策に関する幅広いテーマで討議を行いました。
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CPTPP(包括的・段階的環太平洋パートナーシップ協定)の拡大と事務局設置
これをもっともっと拡大していく。そのために日本が、まさに自由貿易の広がりをつくっていくために、戦略的に取り組むために、この間の予算委員会で申し上げましたけれども、事務局を日本が引き受けたらどうでしょうか。
CPTPPの事務局、これはかなり負担は重いです。それを引き受けるだけの体制というものが我が国で整備できるかどうか、代表の御提案でもございますし、我が国がこれから先、自由貿易体制の中でやっていく上においていかなるメリットがあるか、そして、もちろん他国の了解も必要でございますので、この点は真剣に考えてまいりたいというふうに私として思っておるところでございます。
玉木雄一郎氏(国民民主党、賛成)は、昨年12月の三党幹事長合意を根拠に暫定税率廃止は既に決定済みであるとし、「いつやるかなんですよ」と廃止時期の明示を強く求めました。補助金による値下げ措置に対しては「取って配ると無駄が生じる」として、リッターあたりガソリン25円10銭・軽油17円10銭の減税が最も効果的と主張しました。石破茂首相(中立)は、廃止の方針自体は認識しているとしつつ、「財源をどのように確保するかということが焦点」と述べ、地方財源への手当てを含む恒久的な対応策の確立を条件に挙げ、三党協議の結論を待つ姿勢を示しました。廃止時期の確約はなされませんでした。
野田佳彦氏(立憲民主党、反対寄り)は、赤澤大臣の訪米について「見た目の視覚的な印象は非常に日本にとってマイナス」と批判し、交渉体制についても「相手が二なのに何で日本は一なんだろう」と数の劣勢を問題視しました。また、タスクフォースが当初併任ばかりで後から常設化されたことを挙げ、「体制整備が弱過ぎるし、遅過ぎる」と指摘しました。石破茂首相(賛成寄り)は、トランプ政権誕生前からシミュレーションや省庁横断の準備を行っており「にわかづくりのチームでも全くありません」と反論し、「あの当時としてベストの体制で臨んだ」との認識を示しました。向こうの数が多いことが劣勢を意味するとの見方も否定しつつ、今後の体制強化は続けると述べました。
玉木雄一郎氏(国民民主党、中立)は、当初の政府・与党案について基礎年金の底上げ(最低保障機能の強化)に一定の意義があると評価しつつ、就職氷河期世代が2040年代に年金受給世代となる前に対策が必要と主張しました。選挙対策を理由に基礎年金の3割削減を放置することへの懸念を示し、マクロスライドを明記した形での法案提出を明言するよう求めました。石破茂首相(賛成寄り)は、「三割減るということにならないように我々はどうしていくかということ」と述べ、就職氷河期世代に納得いただける法案を提出するために「今、最終的な議論をしておる」と説明しました。ただし、玉木氏が求めたマクロスライド明記についての明確な回答はなされませんでした。
前原誠司氏(日本維新の会、賛成)は、トランプ政権による日米安保の片務性への批判を「単なるブラフと思うことは危険」と述べ、リスクマネジメントの観点から安保条約の在り方を見直すべきと主張しました。具体的には、双務化によって施設・区域提供義務の見直しや首都上空の航空管制返還など主権国家としての実質を取り戻すべきとし、それには憲法改正が不可欠と強調しました。また、自衛隊が憲法に明記されていないことが人材確保にも影響すると指摘し、総理自身のリーダーシップによる推進を求めました。石破茂首相(賛成寄り)は「不断の見直しが必要」「憲法改正の議論をしていかねばならない」と同意を示し、与野党を超えた議論の深化を呼びかけました。ただし前原氏は、一般論にとどまる答弁では不十分として、具体的行動を改めて促しました。
野田佳彦氏(立憲民主党、賛成)は、トランプ政権の関税政策によってWTOルールや二国間合意が根底から覆されているとし、「日本が自由貿易の旗を持って先頭に立って自由貿易圏のネットワークをつくっていく気構えと外交戦略は必要」と強く主張しました。G20財務大臣会議でもルール遵守を基軸とした国際秩序形成を毅然と訴えるべきと述べました。石破茂首相(賛成寄り)は「世界の自由貿易体制は守っていかねばならない」と明言し、EUとの連携についても「極めて大きな意義がある」と同意を示しました。一方で、日米同盟関係を基軸に置いた上でG20に臨む姿勢を示し、日米が共同で世界に利益をもたらす枠組みを重視する立場を表明しました。認識の大枠では両者の一致が見られました。
会議全体を通じて、トランプ政権の関税政策がもたらす国際秩序の変容への対応が中心的な課題として議論され、自由貿易体制の維持・推進については与野党間で概ね認識の一致が見られました。一方、対米交渉体制の評価、ガソリン暫定税率廃止の時期、年金法案の具体的内容については、野党側が政府の対応の遅さや具体性の欠如を批判し、首相は方針継続を強調しつつも明確な確約を避けた場面が多く、議論は平行線をたどりました。
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