議事録データ出典: 国会会議録検索システム(国立国会図書館)に掲載されている公式議事録を使用しています。
参議院の政府開発援助及び国際協力・人道支援等に関する特別委員会において、日本のODAの理念・強み・透明性・予算確保のあり方から、難民教育支援・感染症対策・防災・ICRCの法的地位まで、幅広い課題について質疑が行われた。
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全14テーマ ・ 紐づく質疑16件
日本型ODA(人材育成・制度構築)
是非とも正々堂々とやっているんだという姿勢を示すことがやはり国民の理解につながると思っておりますので、ちょっと省庁のそうした通知というところでございますから別だとは思いますが、ただ、現場として、是非ともそういう認識を持っていただいて、また何かの機会にちょっと言っていただきたいなと思っております。
公的資金を原資としますODAでありますから、先ほどからの議論でも出ておりますように、国民の理解を得る、そのためにできるだけ分かりやすく情報を公開するということは極めて重要だと思っておりますし、また、ODA事業、これを適正かつ効果的に実施するためには、透明性を確保することによりまして、国民への説明責任を果たすと同時に、不適切な資金の流れが生じないようにすることが重要であると考えております。
このような情報公開の取組を通じまして、資金の流れを国民が確認できるように今後も努めてまいりたいというふうに考えております。
SDGsの進捗状況と日本の取組姿勢について議論が行われました。石橋通宏氏(立憲民主・無所属)は、最新報告書でSDGsの進捗が3%後退し、日本のSDGS進捗度順位もかつての11位から20位に低下したと指摘。ジェンダー平等・気候変動対策・海洋・陸の環境保全の4分野で最低評価を受けているとして、政府の取組姿勢が後退しているのではないかと懸念を示しました。また、SDGs推進会議の開催頻度の低下やSDGsアクションプランの2023年以降の更新停止を取り上げ、政府の姿勢が問われると批判しました。茂木外務大臣は、SDGs達成の困難を認めつつ、順位後退を深刻に受け止め、オールジャパンで取組を加速していく姿勢を示しました。政府参考人の大場雄一氏は、推進会議は重要な決定がある節目に開催し、実施指針を基本的に4年ごとに見直すと説明しました。
グローバルサウス諸国の自立的発展を支援する日本のODAの在り方について議論が行われました。政府参考人の今福孝男氏は、日本のODAの特徴として「魚の釣り方を教える」技術協力を挙げ、開発途上国の技術者・行政官への研修や専門家派遣を通じた人材育成により、グローバルサウス諸国の自立的発展を支援していると説明しました。茂木外務大臣は、グローバルサウス諸国を中心に、各国の発展段階とニーズを踏まえながら支援項目・地域を決定していく方針を表明しました。庭田幸恵氏(国民民主党・新緑風会)は、日本型ODAの強みは相手国が自立して発展できるよう後押しすることにあると肯定的に評価しました。
グローバルサウスの国々、国際社会の中でも発言力を強めております。
このような考え方に基づきまして、相手国のニーズも踏まえたきめ細やかな協力を進めて、国際社会で発言力を高める特にグローバルサウスの国々でございますが、の自立的な発展を支援していきたいというふうに考えております。
この日本型ODAは、援助に過度に依存させるのではなく、相手国自身が自立して経済を発展させられるよう後押しをしていくことも特徴の一つというふうに承知をしておりますが、政府は、世界情勢がこんなふうに大きく変化する二〇三〇年代を見据えて、どの地域、そしてどの分野を戦略的重点として取り組んでいくおつもりなのか、これ、大臣よければ御見解をお伺いします。
ケニアにおけるJICA支援による日本企業のジョチュウギク六次産業化事業について議論が行われました。牧山ひろえ氏(立憲民主)は、同事業を日本型ODAの好事例と評価し、JICAの取組内容を質問しました。原昌平参考人は、株式会社りんねしゃがJICABiz(中小企業・SDGsビジネス支援事業)を通じて2022〜23年にケニアでビジネスモデルを策定し、2025年5月からはケニア農家が生産したジョチュウギク原材料を日本に輸入し製品化していると説明しました。同事業はマラリア・デング熱対策という開発ニーズに応えるもので、日本企業の海外展開と途上国の経済社会開発双方に貢献するとされました。
JICAの支援を受けた日本企業がジョチュウギクの六次産業化に取り組んでいます。健康志向を背景に、世界で再評価されるジョチュウギクを活用したこの事業は、日本型ODAの好事例と考えます。
国際機関向けODA予算の当初予算への計上方針について議論が行われました。高橋光男氏(公明党)は、前年度の補正予算約1,600億円のうち国際機関向けODAが約1,200億円と4分の3を占めており、補正予算依存が続いていると指摘しました。骨太方針において「補正予算に依存した財政運営からの脱却」が掲げられていることを踏まえ、国際機関向けODA予算の当初予算計上について明確な方針を求めました。茂木外務大臣は、恒常的な施策については当初予算で措置するのが現高市政権の方針であるとし、国際機関向けの恒常的な拠出金・分担金についても当初予算でしっかりと確保していく考えを明言しました。
無償資金協力における基礎生活分野(ベーシック・ヒューマン・ニーズ)の優先確保について議論が行われました。高橋光男氏(公明党)は、二国間ODAにおける基礎生活分野の割合がこの10年間で1割以上減少し約24%となった一方、経済インフラは約5割近くに増加していると指摘し、大型インフラ案件は原則有償円借款とし、無償資金協力は基礎生活分野に優先的に確保すべきと主張しました。英利アルフィヤ大臣政務官は、保健・教育を含む基礎生活分野は人間の安全保障上不可欠であり、開発協力大綱に重点政策として明記されているとして、引き続き基礎生活分野への無償資金協力を実施していく方針を表明しました。
JICABiz(中小企業・SDGsビジネス支援事業)による日本企業の海外展開支援について議論が行われました。牧山ひろえ氏(立憲民主)がJICABizの仕組みと日本企業の海外展開への貢献を質問しました。原昌平参考人は、JICABizは年1回公募形式で企業から提案を受け、現地のビジネスニーズの把握や製品・サービスの実証などを通じてビジネスプラン作成を支援するものであり、2010年から2025年6月の累計で1,635件を採択、近年は毎年60件程度採択していると説明しました。同事業は日本企業の海外展開と途上国の経済社会開発の双方に貢献するものとして肯定的に紹介されました。
人材育成・制度構築を特徴とする日本型ODAの価値と継続について議論が行われました。牧山ひろえ氏は日本が長年培ってきた人づくり・制度づくりの知見を世界へ届けることが重要と主張しました。庭田幸恵氏は「人を育て、制度を育て、信頼を育てる伴走する外交こそ日本の外交資産」と評価し、援助依存ではなく相手国の自立を促す支援であることを指摘しました。大津力氏(参政党)は、「魚の釣り方を教える」人材育成型ODAを高く評価し縮小すべきでないと主張しました。茂木外務大臣は、人材育成・ノウハウ提供といったソフト面の協力が日本らしい顔の見える開発協力の強みであるとし、JICA海外協力隊の派遣(約5万8千人)など具体的な取組を紹介しながら、今後もこうした強みを生かしたODAを進めていく考えを明言しました。
私は、日本が長年培ってきた知見や人材という付加価値を世界へ届けていくことが重要ではないかと考えているところでございます。
特に日本らしい顔の見える開発協力は日本のODAの強みであると考えております。
日本のODAは、与える、魚を与えるODAじゃなく釣り方を教えるということで、共に人を、人材を育成することによって相手国を豊かにし、そしてまた私たちも一緒に共に豊かになっていこうと、そういうODAでございますから、これ将来的に親日国家を増やすことになりますから、私たちの将来にとっても、子供や孫世代の日本の外交においても大変有意義であるということで大変評価をしているところでございます。
私は、この伴走する外交こそが日本が長年築いてきた外交資産であり、この不確実性が高まる今の世界だからこそ、その価値はますます高まっていると考えております。
日本発祥の母子手帳のアフリカを含む海外への普及と母子保健向上への貢献について議論が行われました。牧山ひろえ氏は、自ら以前に母子手帳のアフリカ普及を提案し推進してきた立場から、点字を使った母子手帳など進化する取組を紹介しつつ、さらなる展開を強く支持しました。原昌平参考人は、JICAが母子手帳の普及を通じた母子保健向上の取組を長年進めており、マラリア等感染症予防情報も母子手帳に盛り込まれていると説明しました。茂木外務大臣は、今年のゴールデンウィークにアフリカ4か国を歴訪した際、アンゴラの病院視察で母子手帳が広く活用され役立っていると実感し、日本らしい援助を進める重要性を再確認したと述べました。
私は、日本発祥の母子手帳、これをアフリカで広めることを昔提案して、今ではアフリカ中広まっていますけれども、JICAさんのこのような雑誌の中にも、母子手帳の普及や母子保健の向上について、表紙になっていますけれども、どんどん進めているということを聞いております。
アンゴラで病院視察しまして、その際に、アンゴラで広く日本の母子手帳が活用され、そしてこれが非常に役立っていると、こういう話を聞いて、ああ、やっぱりこの日本らしい援助を進めることの重要性、改めて実感をしたところであります。
JICAといたしましては、御指摘いただきました母子手帳の普及を通じまして、母子の生命、健康を守る取組を長年にわたって進めてきております。
自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の推進について議論が行われました。庭田幸恵氏が、2030年代に日本が世界から信頼される国であるために何によって信頼を得るべきかを問いました。茂木外務大臣は、2025年5月にFOIPが進化し、各国の自律性・強靱性を高める取組として様々な国際会議の場で注目されていると述べ、自由・民主主義・法の支配といった基本的価値に裏付けられた国際秩序の維持強化を推進していく姿勢を表明しました。
今、自由で開かれたインド太平洋、FOIPも五月に進化をして、各国の自律性、強靱性を高めるこういった取組、様々な国際会議の場でも私の方からも話もしておりますけど、非常に注目をされているところでありまして、我々がこれまで築いてきた自由、民主主義、そして法の支配といった基本的価値に裏付けられた国際秩序、これをしっかりと維持強化をしてまいりたいと考えております。
蚊が媒介する感染症(マラリア・デング熱)に対するODAを活用した対策について議論が行われました。牧山ひろえ氏が、日本ならではの知恵を使ったODAでの対策継続を求めました。原昌平参考人は、WHOによれば2024年に世界で約2億8千万人がマラリアに感染し、うち95%がアフリカで発生、61万人が死亡したと説明しました。対策として、殺虫剤処理済み蚊帳の配布、屋内殺虫剤散布、防虫スプレーの使用啓発、ボウフラ発生地調査などを組み合わせた協力を展開してきていると述べました。またケニアにおけるジョチュウギクを活用した蚊取り線香製造事業も、デング熱を含む蚊媒介感染症対策の大きな開発ニーズに応えるものと位置付けられました。
本当に物すごい数の方々が蚊によってお亡くなりになったり重症になっている。こういったことを日本がいいことでどんどんどんどん、やっぱり知恵を使ったODA、これからやっぱり知恵を使って、どうやったら日本ならでは、納税者にも理解できる、そして現地にも理解してもらえる、どうやったらそういうインパクトがあるようなODAができるかということは本当にこれからの課題だと思いますので、是非命を守るためのODAを続けていっていただきたいと思うんです。
ICRCへの特権・免除付与と法的地位確立について議論が行われました。高橋光男氏(公明党)は、有事における在留邦人の退避や捕虜の安否確認にICRCの役割は不可欠であるとして、平時から機密情報交換できる法的基盤の整備と、外務省・防衛省・法務省等関係省庁横断の検討の場を直ちに立ち上げるよう求めました。また、日本国内でICRC駐日代表部に特権を一切認めずスイスの私的法人として扱っている点は、海外で拠出金を通じて活動支援していることと一貫性を欠くと批判しました。英利アルフィヤ大臣政務官は、ICRCへの特権・免除は現時点で不可欠ではなく、現状でも国内で活動できていると消極的な姿勢を示しました。茂木外務大臣は高橋委員の問題意識を理解した上で、関係省庁とどういう形がいいか検討すると述べました。
防災・減災分野における日本の知見・技術のODAを通じた海外展開について議論が行われました。庭田幸恵氏は、イラン滞在中に地震を経験した際に日本の防災情報基盤の重要性を実感したとして、制度・人材育成・情報提供の仕組みなど日本が培ってきた経験をODAで展開し、日本企業の防災技術・製品と連携した官民一体の国際協力推進を政府に求めました。茂木外務大臣は、開発協力大綱において防災を重点政策の一つと位置付けていると説明し、フィリピンでの洪水予報システム整備や迂回水路建設、インドネシアでの森林火災対策用泡消火剤支援など具体的事例を紹介しながら、日本の優れた知見・技術を生かした防災分野での積極的な支援を継続していく方針を表明しました。
シリア難民およびミャンマー難民・避難民の若者への留学・教育支援について議論が行われました。石橋通宏氏(立憲民主・無所属)は、JICAが2017年から実施するシリア平和への架け橋・人材育成プログラム(2025年までに85名受入れ)を評価しつつ、対象が大学院生に限られているため現地の候補生が減少しているとして、大学生にまで門戸を広げるよう求めました。また、かねてより取り組んできたミャンマー難民・避難民の若者に対しても同様の留学機会を提供するよう求めました。田中明彦JICA理事長は、大学院生以外への拡大については外務省等と話し合いながら検討すると述べ、ミャンマーについては2023年から事業を開始しバングラデシュ在住者7名を受入れ済みだが、タイ在住者については在留資格等の問題から実施できていないと説明しました。
各議員から、人材育成・制度構築を中心とする日本型ODAの継続・強化が共通して支持される一方、SDGsの進捗停滞、国際機関向けODA予算の当初予算化、無償資金協力の基礎生活分野への優先配分、ICRCへの法的地位付与など、具体的政策課題について政府への改善要求が相次いだ。政府側は、人間の安全保障を基本理念に置く姿勢に変化はないとしつつ、国際機関向け予算の当初予算確保の方針明言や、ICRCに関する関係省庁横断の検討着手など、一定の前向きな答弁を示した。
この要約はAI(自然言語処理モデル)を用いて生成しています。 要約の精度向上に努めていますが、解釈の違いや誤りが含まれる可能性があります。
必ず元の議事録本文もご確認ください。