参議院内閣委員会において、一般職・特別職の国家公務員給与改正法案を一括して審議し、国家公務員給与の引上げ内容や配分の合理性、法案審議の遅延、閣僚等給与の不支給措置、兼業制度見直し、非常勤職員の処遇、ILO勧告への対応などについて質疑が行われた。
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国家公務員給与改定と人材確保
兼業制度の見直しが公務の魅力を向上させ、人材確保にもつながり得るものである、このようにも断定されています。これ、何か根拠ありますか。
伊勢崎賢治委員(会派記載なし)が、国家公務員の労働基本権制約とILO勧告への対応を主要論点として取り上げた。伊勢崎委員は、ILOが2002年から2024年までの間に12回にわたり日本の公務員労働基本権制約(主にILO87号条約違反)を指摘してきた事実を示し、「先進国の中でこの頻度で勧告を受けているのは日本だけに近い」と述べた。また、人事院勧告制度はGHQ占領期にマッカーサーの指令を契機として設けられた「占領軍のジレンマの代償」であり、その成り立ちからの呪縛を見直すべきと主張した。政府参考人(松本敦司氏)は、人事院勧告制度が代償措置として安定的に運用されており、最高裁でも合憲とされている旨を説明した。伊勢崎委員は反対討論において、直ちに全面的なスト権付与を求めるのではなく、労使協議の透明性向上・団体交渉権の段階的拡大・人事院への中立的仲裁機能付与を求めるべきとの改革論を述べた。
官民比較への過度の依存を改め、労働基本権についての段階的な見直しを進めるべきであります。
国家公務員給与の引上げ幅・配分の合理性・法案審議の時期をめぐり、複数の委員から質疑が行われた。
鬼木誠委員(立憲民主党、中立)は、「物価上昇を上回る賃上げに資する法案」と評価しつつも、中高年層への配分がこれまで遅すぎたと批判し、「初任給を引き上げる方策は官民較差配分だけではなく、初任給格付上げという選択もある」と指摘した。また、会期末ぎりぎりの法案審議により年内支給に間に合わない職員が生じる可能性を問題視し、「年越しちゃいかぬ」と早期閣議決定・早期審議の必要性を訴えた。松本尚国務大臣は今年の遅延を認め、「次年以降、このようなことが繰り返されないようにしていく」と答弁した。
堂込麻紀子委員(国民民主党、中立)は、昨年の初任給引上げが官民較差の約2.6倍という大幅乖離であった点を問題視し、人事院の判断の合理性を検証する立場から質疑した。「給与だけでなく労働環境全体の魅力を高めることが重要」と述べ、大企業の初任給水準との競争に固執しないよう訴えた。
伊勢崎賢治委員(反対)は反対討論で、今回の改定が三十四年ぶりの高水準であることを認めつつも、「物価上昇が続く中、名目賃金の引上げだけでは実質賃金が追い付いていない」として不十分と批判し、年一回の勧告制度の限界を指摘した。
最終採決では、一般職給与法改正案は多数で可決された。
大門実紀史委員(日本共産党)と窪田哲也委員(公明党)が、非常勤職員の処遇問題をそれぞれの観点から取り上げた。
大門委員(賛成寄り)は、一般職公務員の23%超を占める約8万人の反復採用非常勤職員の実態を提示し、「常勤職員と全く同じ仕事をしながら新人正規職員に仕事を教えている者もいる」と指摘した。民間では無期転換ルールが進む中、会計年度ごとの雇用継続を余儀なくされているのは「時代遅れ」であるとし、「恒常的・専門的・継続的な業務に従事する者は常勤化・定員化すべきであり、制度として確立すべき」と主張した。人事院参考人(米村猛氏)は常勤化への問題意識の共有を示しつつ「引き続き研究する」と述べるにとどめた。松本尚大臣は、非常勤職員の処遇改善は重要な課題と認め、引き続き取り組む意向を示した。
窪田委員(賛成寄り)は、非常勤職員への住宅手当・扶養手当が非常勤職員給与指針に記載されていない点を問題視し、支給検討を求めた。人事院参考人(荻野剛氏)は、職務内容・勤務形態の多様性を理由として統一的な記載を避けていると説明しつつ、民間動向を注視しながら対応する姿勢を示した。また、保育時間・子の看護休暇等については、令和8年4月から有給とする改正が既に行われることが明らかにされた。
一般職給与法改正案は多数で可決、特別職給与法改正案は参政党提出の修正案が否決された上で原案が多数で可決された。共産党・一部委員は、閣僚給与不支給の政策的問題点や給与改定の実質的不十分さ等を理由に反対した。非常勤職員の処遇改善・常勤化や兼業制度見直しについては、制度整備の方向性は共有されながらも具体的な制度改正には至っておらず、引き続き検討が求められる課題として残された。
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