本委員会では、食育基本法の約二十年ぶりの改正案について議論が行われました。神谷議員、簗議員、高橋光男議員、舟山康江議員、石垣のりこ議員、岩渕友議員らが、大人の食育推進のための官民連携食育プラットフォーム、学校給食における地場産物活用や米飯給食の維持、学校給食会の役割、第四次食育推進基本計画の目標未達要因、超加工食品の健康影響評価、農林漁業体験参加率の減少、食料・農業・農村基本法改正を踏まえた消費者の行動変容、食料難の歴史の教育への位置付け、食育の定義や感謝の念の位置付けなど、多岐にわたる論点について質疑を行いました。山下副大臣、坂政府参考人、神山政府参考人、榊原政府参考人、鈴木大臣が、それぞれの論点について政府の取組状況や方針を説明しました。
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全9テーマ ・ 紐づく質疑14件
食育基本法二十年ぶり改正の趣旨(食料安全保障・大人の食育・農林漁業教育の追加)
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今回の改正では、食育の場として職場が法律に初めて明記をされました。これも大きな意義があると思います。
本テーマでは、学校給食における地場産物活用と農家の納入負担、米飯給食の維持・質的向上が論点となりました。高橋光男議員は、価格問題や規格を満たした安定納入の難しさなど農家側の給食納入負担の現実を指摘するとともに、米価上昇下での米飯給食の回数減少・質の低下や、高校段階での給食停止への懸念を提起しました。これに対し山下副大臣は、地産地消コーディネーターの派遣等により給食現場と生産現場の課題解決や連携体制づくりを支援する考えを示すとともに、米飯給食の実施回数は昭和61年以降の週2回台から令和5年には週3.6回まで増加しており、今後も推進していく方針を説明しました。高橋議員のスタンスは、懸念表明と支援要望にとどまり、明確な賛否の主張は示されていません。
また、米価上昇の中で、給食の要である米飯給食の回数が減っていること、また質が低下していること、また高校段階では給食を停止しているところもございますので、こうした懸念の声もございます。
学校給食会の今日的役割をめぐって議論が行われました。舟山康江議員は、学校給食会が地場産物の供給におけるネックになっているとの指摘があるとして、その役割について質問しました。これに対し神山政府参考人は、学校給食会は昭和29年から34年頃にかけて設立された組織であり、現在は主食原料の供給や食育推進のための研修等を実施していると説明し、設立当初に担っていた物資流通の役割は既に消滅していると述べました。また、生産者団体と直接協力することで地産地消や食育の充実につなげている事例もあるとし、自治体への助言を継続していく考えを示しました。舟山議員は給食会が地場産供給の弊害になっている点を問題視し、改善を求める立場を示しました。
ともすれば、本来直接取引ができるのに学校給食会を通さなければならないというような弊害が指摘されてないわけでもないので、そういったことがないように、まさに給食会のおかげで円滑にいいものが供給できるんだ、提供できるんだというふうな組織になるような御指導、そしてその好事例の横展開、お願いしたいと思います。
第四次食育推進基本計画について、石垣のりこ議員は令和6年度時点で24項目中達成は2項目のみである点を指摘し、その理由を質問しました。これに対し坂政府参考人は、行政主導の目標については上昇傾向にある一方、国民の意識・行動に関連する目標は横ばいまたは減少しており、コロナ禍や物価高騰の影響があると説明しました。石垣議員はこれに対し、物価高を未達の理由とすると今後も目標達成が困難な状況が続くのではないかとの懸念を表明しました。坂政府参考人は、第五次計画においては具体的な施策を位置付け、PDCAサイクルにより毎年度見直しを図っていくとの方針を示しました。
これを推進がなかなか進まなかったという理由にしてしまいますと今後もかなり厳しいのではないかというふうに予想されてしまいます
本テーマでは、超加工食品の健康影響評価と食育推進基本計画への位置付けが議論されました。岩渕友議員(賛成、スコア0.90)は、ランセット誌掲載論文で超加工食品摂取増加が慢性疾患・死亡リスクを高めるとされている点を取り上げ、ベルギー・ブラジル・カナダ等で指針が発表され、WHOもガイドライン策定中、米国も指針に位置付けている一方、日本は未採用であると指摘し、危険性評価と基本計画への明記を求めました。また、企業のロビー活動により規制が妨害され超加工食品が拡大している構造的問題や、経済的事情から超加工食品を選択せざるを得ない実態を挙げ、貧困問題を食育議論の前提とすべきと提起しました。これに対し榊原政府参考人および坂政府参考人は、超加工食品の定義が国際的にも定まっていないため厚労省として正式見解を出すのは困難であるとしつつ、国際動向を注視し第五次基本計画に情報提供の取組を位置付ける方針を示しました。鈴木大臣は、食品安全基本法に基づき科学的知見で対応し、第五次計画に食品安全性の確保を適切に位置付ける方針を述べました。
この超加工食品の概念は掲載されていないんですけれども、この概念を掲載して、その危険性について具体的に警告することが必要だというふうに思います。
農林漁業体験参加率は目標65.7%から70%以上への引き上げが掲げられていたのに対し、実績は57.1%へと悪化しており、政府側はコロナの影響を要因の一つとして説明しました。これに対し舟山康江議員は、コロナ収束後の2024年度にも参加率が大きく下落している点を挙げ、要因をコロナのみに矮小化すべきでないと指摘しました。文部科学省は、令和6年度調査で農林漁村体験活動を実施した学校が小学校47.2%、中学校31.3%にとどまるとし、宿泊調整や教員負担が課題であると説明した上で、宿泊体験活動へのコーディネーター経費支援等を通じて農林漁業体験を含む活動を推進する考えを示しました。簗議員は、改正前文で体験活動を通じた感謝・理解の醸成を明記し、第20条で学校における農林漁業教育を規定したことを説明しました。高橋議員は、豊岡市のコウノトリ育むお米や稲美町のイチゴおはぎ教室など、生産者と児童が交流する事例を紹介しました。山下副大臣は、農林漁業者の教育参画支援や地産地消コーディネーターの派遣、地域農業と教育の連携モデル創出に取り組む考えを述べました。
やっぱり原因をそこだけに矮小化すると本質的なその向上に向けての取組ができないんじゃないのかなと思います
本テーマでは、食料・農業・農村基本法改正を踏まえた消費者の行動変容と食料安全保障の確立について議論されました。簗議員は、同基本法改正により消費者の役割として生産現場への理解促進や持続的な食料供給に資する選択が明確化された経緯を説明しました。また、合理的な価格形成の考え方が明記されたことや食料システム法の制定を受け、消費者の行動変容につなげるための法制的措置として今回の改正が行われた旨を述べました。さらに、消費者が生産現場への理解を深め、国産品や地場産品の選択、それに伴うコスト負担につなげていくことが、食料安全保障の確立に不可欠であるとの考えを示しました。なお、本論点についての賛否スタンスに関するデータは示されていません。
本テーマでは、食料難の歴史を教育に位置付ける必要性について議論が行われました。岩渕友議員は超党派会議でヨーロッパの食料難教育の事例を紹介し、日本と世界の食料難の歴史を教える重要性を指摘した上で、基本計画への位置付けを必要と明言し、賛成の立場を示しました(スタンススコア0.75)。これに対し神山政府参考人は、小学校学習指導要領・教科書において既に食料難の歴史や食料安全保障の重要性が取り上げられていると説明し、また基本計画は施策の基本方針を定めるものであり、特定の指導内容を位置付けることは想定していないと回答しました。
基本計画にこの点も位置付けることが今こそ必要なのではないでしょうか。
本テーマでは、食育基本法における食育の定義や感謝の念の位置付けをめぐって議論が行われました。神谷議員は、法案に定義規定はないものの、前文第二段落において食育が知育・徳育・体育の基礎として位置付けられていることを指摘しました。簗議員は、感謝の念は食育基本法の根幹をなすものであり、制定時から前文および第三条に規定されているほか、学校給食法や道徳科においても重視されていると説明しました。これに対し石垣のりこ議員は、感謝は学びや経験を通じて自然に湧き起こるものではないかと問題提起し、他者からの働きかけによって感謝を強要すると本質を見失うおそれがあると指摘しました。石垣議員のスタンスは、感謝の自然な生起を重視し、外部からの強制的な介入には否定的な立場を示すものでした。
他者からの働きかけ、忖度が働いてしまいますと感謝することの本質というのを見失ってしまうのではないかと、内面に踏み込むことにもなると思います。
本案は、食料・農業・農村基本法の改正等を踏まえ、食育基本法を約二十年ぶりに改正するものです。前文に食をめぐる環境変化を追加するとともに、目的に食料安全保障の確保に資する食育の推進を新たに加えています。基本理念には、関連分野との協働、大人の行動変容の促進、官民連携の強化に関する規定が追加されました。基本的施策としては、生産者と消費者の交流促進、学校における農林漁業教育の強化、大人向けの食育運動の促進等が新設されています。法律は公布の日から施行するとされています。この改正について、杉本純子氏は食育の精神文化的意義に期待を示し賛成の立場を示しました。舟山康江氏は超党派による丁寧な議論と柔軟な改正内容を評価し、賛成の立場を表明しました。
改正案は、食料安全保障の確保に資する食育の推進を目的に加えるとともに、大人の行動変容の促進や官民連携の強化などを基本理念に追加するもので、与党内議論の後、昨年11月から3月まで4回の超党派議論を経て取りまとめられ、全会一致で原案どおり可決されました。
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