本会議では、日本銀行が金融政策決定会合において政策金利を一・〇%程度に引き上げたことを踏まえ、氷見野良三副総裁(植田総裁の入院に伴い代理出席)を中心に、多岐にわたる論点が議論されました。主な論点として、利上げのタイミング・ペースの妥当性とビハインド・ザ・カーブ回避、中立金利水準や基調的物価上昇率の評価、デフレ脱却の判断基準と政府・日銀共同声明の見直し要否、円安の進行が物価・中小企業経営に及ぼす影響、利上げに伴う中小企業の資金調達コストや住宅ローン変動金利上昇が家計に与える影響、国債買入れ減額計画の見直しと国債市場の機能度、日銀保有ETFの処分方針、日銀の逆ざや・財務健全性、金利上昇による国の利払い費増加と財政の持続可能性などが取り上げられました。委員としては河村たかし委員、大森江里子委員、萩原佳委員、稲葉大輔委員、牧野俊一委員、岡本三成委員、近藤雅彦委員、峰島侑也委員、田中健委員らが発言し、財務省の中谷真一副大臣、金融庁の岩田副大臣、国土交通省、内閣府の茂呂政府参考人も答弁しました。
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利上げによる中小企業の資金調達コスト上昇・倒産リスクと設備投資への影響
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本テーマでは、AI・半導体関連輸出をめぐる日本の産業競争力について議論が行われました。河村委員は、AI関連企業の上位がほぼ米中で占められている状況に触れ、かつて世界トップだった日本の情報通信産業(NEC、富士通等)の国際的地位が低下していることへの懸念を示しました。これに対し氷見野参考人は、AIブームに伴う半導体製造装置等の輸出物価の急騰について、日本企業が一定分野で強い競争力を有していることの表れであると受け止めているとの認識を説明しました。河村委員はこの氷見野参考人の産業競争力に関する認識に対し、重ねて懸念を表明しました。なお、河村委員のスタンスについては、米国企業優位への懸念を表明したにとどまり、輸出競争力そのものに対する賛否の具体的な立場は明確にされていません。この論点について、明確な結論や決定事項は示されていません。
AIなんか、言ったら、二十社ぐらいずっと出ておって、左側に上位十社、全部アメリカですよ。
本テーマでは、AI関連需要の拡大が資材価格や日本経済に与える影響について議論されました。副総裁は、グローバルなAI関連需要増加が機械類・非鉄金属等の生産伸長を通じ日本経済に好影響を与えていると説明しました。氷見野副総裁は、AI関連需要増に伴う銅・アルミ・メモリー等の需給逼迫を背景に、機械類・非鉄金属価格の伸びが高まっていると説明しました。牧野委員は、AI・半導体投資の進展に伴う資材価格上昇にはディマンドプル要素もあると述べ、日銀もコストプッシュが強いとの分析であると理解した旨を述べました。なお、各発言者の賛否についてのスタンスデータは示されていません。
本テーマでは、デフレ脱却の判断基準と政府・日銀の共同声明見直しの要否が議論されました。氷見野副総裁は足下の消費者物価上昇率がプラスであることから現状はインフレの状態にあるとしつつ、デフレ脱却の判断自体は政府が指標等を踏まえ総合的に行うものと整理しました。内閣府の茂呂政府参考人は、CPI・GDPデフレーター等の基調や実体経済動向を総合考慮し慎重に判断する必要があるとし、現時点でデフレに再び戻る見込みがないとまでは言えないとしました。田中健委員は、CPI・GDPデフレーター・需給ギャップ・単位労働費用の政府の四指標がいずれもクリアしていると指摘して判断基準を質し、共同声明の見直しを求める立場を示しました。これに対し茂呂政府参考人は、四指標はプラスだがGDPギャップは中東情勢の影響が反映されていない直近値であり、実体経済の動きを注視するとしました。中谷真一副大臣は、賃金上昇を伴う持続的・安定的な物価上昇の実現は道半ばであるとして、共同声明の見直しは現時点で必要ないとしつつ、デフレ脱却後は見直す必要があるとの個人的見解を述べました。
本テーマでは、萩原佳委員が四月から六月への利上げ判断のタイムラグに関し、ビハインド・ザ・カーブ懸念への評価を質問しました。これに対し氷見野良三副総裁は、四月は中東情勢の影響を見極めるため据え置き、その後の物価上振れリスクの確認を経て六月に利上げを判断したと説明し、調整のタイミング・ペースについては中東情勢の影響を注視しつつビハインド・ザ・カーブに陥らないよう判断するとしました。また、基調的物価上昇率が二%に近づいており、これを二%程度で安定させる観点が重要であると述べています。スタンスに関しては、岡本三成委員は変動金利者への配慮も含め現在の利上げペースを適切と評価し支持する立場(スコア0.75)を示し、氷見野良三副総裁は調整遅れのリスクを強調し将来的な利上げの必要性を示唆しつつ直近の据え置きも許容する立場(スコア0.75)でした。一方、稲葉大輔委員は地方経済が強くなるまで利上げに慎重であるべきと主張し、早期利上げに否定的な立場(スコア0.15)を示しました。萩原佳委員は利上げタイミングへの批判的意見を紹介するにとどまり、自身の立場は不明確(スコア0.50)とされています。
やはり、地方が本当に強くなるまで、企業の収益が上がって賃金、手取りが上がる、その実感がつかめるまで、余り冷や水を差すような方向ではなくて、きちんと協調して、成長投資をやっていくんだぞ、強化プランもしっかり進めていくんだ、そんな声を国からも出していただきまして、地方を応援していただければというふうに思います。
日銀がこのペースでやることが、結果的に、変動金利で超長期で払っている皆さんのことも考えた上で最も適切な金融政策の判断だということを、是非メッセージを送っていただきたいと思いますが
金融緩和の度合いの必要な調整が遅れ、後になってより急速な利上げを余儀なくされることになれば、住宅ローン金利上昇を含め、家計、企業、経済全体に大きな負荷をかける可能性があります。
今回の利上げのタイミングが実は遅かったのではないのか、そういう声も一部残っております。
本テーマでは、中立金利水準の評価と基調的物価上昇率の判断が論点となりました。委員から、三月会合における中立金利一・一〜二・五という発言と、内田副総裁による「政策運営で使えない」との言及が指摘されました。これに対し副総裁は、市場が織り込む政策金利見通しには中立金利の見方など様々な要因が反映されていると説明しました。また氷見野副総裁は、中立金利は統計で直接計測できず推計にばらつきがあるため、政策運営上の答えが直接出るわけではないと説明しました。日銀は、短期金利と中立金利の関係に加え、実質金利水準や資金調達コスト、貸出態度など幅広い指標を総合的に点検するとの立場を示しました。発言者としては岡本三成が、基調的物価は既に2%をかなり超えているとの上振れ認識を示し、賛成の立場を表明しました。
私個人としては、基調的物価は二%をかなりな水準で超しているというふうに思っているんですけれども。
本テーマでは、住宅ローン控除の控除率見直しをめぐって議論が行われました。大森江里子委員は、利上げによりローン金利が一パーセントを超えれば逆ざやが解消し、控除率〇・七パーセントへの引下げの前提が変化するとして、控除率引上げの検討の有無を質問しました。大森委員のスタンスは賛成寄りであり、逆ざや解消を踏まえた控除率引上げの検討を要望する立場からの発言でした。これに対し国土交通省は、令和八年度税制改正において既存住宅の借入限度額や控除期間の拡充等の見直しを実施したと説明しました。さらに国土交通省は、金利上昇が住宅市場に与える影響も含め、住宅税制の在り方について不断の検討を行うと答弁しました。
今回の利上げ決定を踏まえ、住宅ローン控除の控除率を〇・七%から引き上げることについて検討を行うお考えはおありでしょうか。
本テーマでは、円安の進行が物価や中小企業経営に及ぼす影響と金融政策の関係について議論されました。稲葉大輔委員(スコア0.00)は、円安による輸入コスト上昇が中小企業を苦しめる悪性インフレであり、内外金利差が円安を助長していると指摘しました。これに対し牧野俊一委員(スコア0.25)は、金利差による円安が輸入物価上昇の原因だとして日銀に利上げを求める論調に反論すべきと主張しました。大森江里子委員(スコア0.50)は、利上げの副作用と円安放置の副作用の双方を懸念する中間的な立場を示し、萩原佳委員(スコア0.50)は利上げの効果への疑問を提示するにとどまり、円安や金融政策への賛否は不明確でした。氷見野副総裁は、金融政策は為替コントロールを目的とするものではないとしつつ、為替変動が物価に影響しやすくなっている点、及び為替動向が予想物価上昇率を通じて基調的物価上昇率に影響しうる点に留意すると説明しました。また為替は日銀の政策以外にも国際金融市場や需給等の様々な要因で変動するとの説明がなされました。
あえて、行き過ぎた円安が中小企業、生活者を苦しめている、悪性のインフレだということは間違いないと思っていますし、また、内外の金利差というのがこの円安を助長しているというような声も多方面から聞こえている状況であります。
今この場面で、ようやく日本経済が復活しようとしているこの場面で、拙速な利上げで、ようやく上向きになってきた設備投資サイクルというものが腰折れてしまいますと、中立金利に向けた内需の拡大に沿った利上げの動きというものが更に出遅れてしまうということになって、トータルで見て、円安の圧力が更に強まる結果につながるんじゃないかというふうに危惧しております。
国民生活を冷え込ませる一方で円安に起因するインフレも抑え切れないという最悪の中途半端な利上げに陥るリスクについて、日本銀行はどう認識されておられるのか、氷見野副総裁にお伺いいたします。
火曜日に日銀が一・〇%への政策金利の引上げを発表したにもかかわらず、為替市場では全然反応しなかった。
本テーマでは、利上げが中小企業の資金調達コストや倒産リスク、設備投資に与える影響が議論されました。大森委員は中小零細企業の資金繰り圧迫や倒産急増、設備投資萎縮による成長鈍化への懸念を表明しました。萩原委員も、利上げが中小企業の資金繰りを悪化させ、賃金と物価の好循環を止めないか質問し、日銀の全国支店を活用した実態把握と政策への反映を要望しました。牧野委員は資材価格高騰が投資の制約要因である点を指摘するとともに、拙速な利上げが企業の資金調達を困難にし経済にブレーキがかかり過ぎるリスクを挙げ、バランスある判断を求めました。これに対し中村理事は、資金調達コスト上昇を認めつつ、企業収益の高水準や緩和的金融環境の継続も併せて評価する必要があるとし、企業倒産増加の大半は物価高・人手不足によるもので金利負担が直接要因の倒産は少ないと説明しました。また設備投資は緩やかな増加傾向を維持していると述べました。副総裁は、企業の利払い負担増加は生じるものの企業全体の高水準収益も併せて評価すべきとし、氷見野副総裁は銀行貸出残高の高い伸びと金融機関の積極的な貸出態度により設備投資はサポートされると説明しました。
経営体力の弱い中小企業が利払いに耐え切れず、倒産が急増する懸念があります。さらに、資金調達コストが上がるため、企業が新しい工場やシステムへの設備投資をためらうことになり、長期的な経済成長が鈍化する可能性があります。
拙速な利上げによって、企業の資金調達がちょっと困難になったりとか、あるいは家計の負担が住宅ローンとかを介して増え過ぎてしまうと、経済に余計にブレーキがかかり過ぎてしまうというふうなリスクがあるとやはり思っていますので、そこのところはしっかりバランスを見て判断していただきたいというふうに思います。
今回の一・〇%への利上げが資金繰りを悪化させて、せっかく芽生えた賃金と物価の好循環にストップをかけるような状態にならないのか。
企業倒産につきましては、足下、増加傾向をたどっておりますが、その理由の大半は物価高や人手不足関連でございまして、金利負担の増加を直接の要因とする倒産件数はかなり少ない状況が続いております。
政策金利の引上げは、貸出金利等の上昇を通じて、企業の利払い負担を増加させる方向に作用いたします。
本テーマでは、利上げに伴う住宅ローン変動金利の上昇が子育て世代の家計に与える影響について議論されました。大森江里子委員は、変動金利利用者が約七、八割を占める中で利上げにより住宅ローン返済負担が増し、子育て世代の消費抑制につながるリスクを指摘し、スコア0.10と否定的な立場を示しました。また、超長期住宅ローンの増加を踏まえ、変動金利が一%上昇した場合、一億円借入れ時には三千五百万円の負担増になるとの指摘もありました。これに対し中村康治理事は、変動金利上昇が消費を下押しする可能性はあるものの、五年ルールなど返済額の急増を抑制する仕組みがあると説明し、賃上げの実現や預金利回りの上昇も併せて評価すべきであり、現状では家計支出への大きな影響は見られないとして、スコア0.50の中立姿勢を示しました。副総裁からは、後になって急速な利上げを強いられれば、住宅ローン金利を含め家計・企業に大きな負荷がかかるとの説明がありました。
本テーマでは、日銀の逆ざやによる財務健全性悪化と通貨信認への影響が議論されました。大森江里子委員は、日銀の逆ざやによる赤字・債務超過リスクが円の信認を揺るがしかねないと懸念を表明し、当座預金付利増加と超低金利国債保有による逆ざやが円の信認・政策遂行能力を縛るおそれを指摘しました(スコア0.20)。これに対し氷見野良三副総裁は、中央銀行はやや長い目で見れば収益が回復する仕組みであり債務不履行には陥らないと説明した上で、財務悪化への着目が金融政策の混乱を招く場合は信認低下のリスクがあるため健全性に留意すると答弁しました(スコア0.50)。また財務副大臣は、国庫納付金は当座預金利息増加のほかETF損益等の影響も受けるため、水準の予断は困難であると答弁しました。
本テーマでは、利上げ決定後の市場反応が乏しかったことを踏まえ、市場との対話の在り方が議論されました。委員からは、〇・二五%の利上げは織り込み済みで材料出尽くしとなり、フォワードガイダンス次第では円高効果もあり得たとの指摘があり、萩原佳委員は利上げ発表後も為替が円安方向に動いたことへの評価を質問するとともに、利上げのタイミング・ペースの基準を適時示すべきと提言しました。これに対し副総裁は、日々の相場動向への具体的コメントは差し控えつつ、経済・物価見方を丁寧に説明することが重要と説明し、調整のタイミング・ペースについては中東情勢の展開を注視し検討する必要があるとしつつ、丁寧な発信に努める旨を答弁しました。参考人は、為替水準への具体的コメントは差し控え、為替は様々な要因で変動するとの一般論を述べました。スタンスデータでは、岡本三成委員・萩原佳委員がいずれもスコア〇・七五で、市場対話強化やフォワードガイダンスの明確化に肯定的な立場を示しています。
本テーマでは、国債買入れ減額の停止・月二兆円据置き方針をめぐり議論が行われました。大森江里子委員は、利上げと国債買入れ減額停止・月二兆円据置きの組み合わせを金融正常化の後退と指摘し、財政ファイナンス構造からの脱却を阻むものであると批判しました。峰島侑也委員も、利上げという引締め的な措置と減額停止という緩和的に見える措置が組み合わさった政策スタンス全体の評価と狙いについて質問し、据置きに否定的な立場を示しました。これに対し氷見野良三副総裁は、短期金利操作と国債買入れは別の判断であるとし、財政への配慮から据置きを決めたわけではないと説明しました。委員からは、二〇二七年四月以降の月二兆円据置きが金融正常化の後退や財政ファイナンス構造からの脱却を阻むとの批判が示されましたが、副総裁はこうした懸念を否定しました。
本テーマでは、日銀が来年三月まで従来の減額計画を維持し、来年四月以降は月間二兆円程度の買入れを行うと決定したことを受け、国債市場の機能度・安定性をめぐる議論が行われました。稲葉大輔委員(スコア0.25)は、減額計画の固定が国債増発時のボラティリティ上昇と市場不安定化を招くと懸念を示しました。これに対し中村理事は、長期金利は市場で自由に形成されることが基本としつつ、例外的な急騰時には機動的に買入れを増額すると答弁しました。峰島委員は市場の価格決定機能を重視し、長期的な国債購入縮小が望ましいとの立場を表明しました。氷見野良三副総裁(スコア0.75)は、政策金利判断と国債買入れ判断は別のものと位置づけ、二兆円程度への設定は財政への配慮ではなく市場機能度改善や投資家の保有調整に要する時間を理由とすると説明し、市場安定に配慮し予見可能な形で買入れを進めると述べました。また副総裁は、イールドカーブのゆがみはおおむね解消され市場機能は着実に改善していること、日銀のバランスシートは欧米中銀と遜色ないペースで縮小していく見込みであることも説明しました。大森江里子委員(スコア0.75)は、減額停止は円安・物価高長期化を招くと懸念し、計画継続を支持しました。今後の買入れペースの見直しは、本邦投資家のポートフォリオ調整の進捗や市場機能度を勘案し、決定会合で判断されるとされています。
本テーマでは、地域金融機関による中小企業への資金繰り支援・成長投資後押しをめぐり、稲葉委員が地方銀行・信用金庫を通じた中小企業の投資・資金繰り支援強化について金融庁に質問しました。これに対し金融庁は、昨年十二月公表の地域金融力強化プランにおいてMアンドA・事業承継・事業再生・DX支援等を盛り込み、着実に実施していると説明したほか、中東情勢を踏まえ官民金融機関に事業者への資金繰り支援徹底を要請し、モニタリングを継続すると説明しました。また、資本不足予測に関連して、岩田副大臣は資本不足予測のみをもって業務改善命令を発出することは検討していないとし、早期警戒制度に基づき深度ある対話や改善策促進のプロセスを経て対応していると説明しました。さらに、監督指針改正案では業務改善命令に資本増強に関するものを含めることを明確化するとともに、当局によるストレステスト実施を追記する内容が示されました。
本テーマでは、地域金融機関における預貸率上昇と預金獲得競争の激化が論点となりました。近藤委員は、八月から地方銀行等で預金金利の引上げが相次ぎ預金獲得競争が激化することへの懸念を示すとともに、預貸率が二十七年ぶりの水準となる八一%まで上昇していると指摘しました。これに対し岩田副大臣は、預貸率の上昇や個人預金の減少を踏まえ、安定的な資金調達の重要性が高まっているとの認識を示しました。また金融庁は、与信判断や経営改善支援体制の整備、M&Aや事業承継支援等を通じて、地域銀行が金融仲介機能を発揮できるよう促していく方針であることが示されました。
本議論では、地方・中小零細企業における物価高・コスト高の実感と景気認識との乖離が論点となりました。稲葉大輔委員は、地元浜松の部品メーカー・飲食・小売・建設業界が物価高・コスト高に苦しんでいる状況を挙げ、景気実感との乖離を指摘しました(スコア0.00)。近藤雅彦委員も、地方中小企業における人件費上昇と価格転嫁の苦慮を指摘し、景気実感との乖離を示唆しました(スコア0.25)。これに対し氷見野良三副総裁は、本支店ヒアリングを通じて原油高が中小企業経営に与える影響をきめ細かく点検する必要があると説明した上で、原油高は景気の下押し要因である一方、企業収益や雇用所得の改善が景気を下支えしており、全体の足取りはしっかりしているとの認識を示しました。
本テーマでは、実質賃金の動向を踏まえた利上げ判断の総括が議論されました。中村理事は、名目賃金上昇と消費者物価伸び率の縮小により実質賃金が前年比ではっきりとしたプラスで推移していると説明し、制度要因の影響を除いても名目賃金上昇を主因に実質賃金は改善傾向にあると評価しました。近藤雅彦委員は、四月の実質賃金が一・九%プラスで四か月連続プラスとなっていることを指摘した上で、利上げの総括を質問し、利上げ判断を適切と評価する賛成の立場を示しました。これに対し氷見野副総裁は、実質賃金の前年比がはっきりとしたプラスで推移し、経済を下支えする方向に作用していると説明するとともに、2024年3月のマイナス金利解除時の賃金判断について、中小企業を含め適切であったと総括しました。
この判断については適切なものであったと考えております。
本テーマでは、政府のエネルギー負担緩和策や原材料の代替調達進展が利上げ判断の前提としてどのように組み込まれているかが議論されました。氷見野副総裁は、政府のエネルギー負担緩和策の効果や中東依存原材料の代替調達の進展により、経済の下振れリスクは一頃より低下していると説明しました。また、これらの政府対策や代替調達の進展は、物価の上振れ抑制と経済の下振れ抑制の両面に働くとし、原油価格下落の影響についても両面があると述べました。これに対し田中委員は、政府対策が利上げ判断の前提に組み込まれていることを踏まえ、仮に対策がなければ判断が変わっていたかどうかを質問しました。両者のやり取りでは、賛否の明確な表明は見られませんでした。
本テーマでは、政府の物価高対策により押し下げられたCPIが実質賃金評価や生活保護受給額算定に及ぼす影響が論点となりました。峰島侑也委員は反対の立場から、CPIが人為的に押し下げられている場合、実体経済に比して実質賃金の上昇が過大評価される可能性や、生活保護受給額算定に用いられるCPIについて補助金による物価押し下げの恩恵を受けない層への影響リスクを指摘しました。また、補助金・減税で押し下げられたCPIによる実質賃金計算が実態より高く出るゆがみについて、内閣府の認識を質問しました。これに対し内閣府は、実質賃金算定に政策効果を含むCPIを用いるのは家計が実際に直面する物価を参照するためであると説明し、低所得世帯は光熱費等必需品の割合が高く物価上昇の影響を受けやすい可能性を分析し、多面的に見ることが重要であると説明しました。さらに、委員からは補助金の影響で物価全体が押し下げられており、基調的物価は既に二%をかなり超えているとの認識が示されました。
そういったある意味ゆがんだ数字をもって政策判断をすることの危うさについて、どのように認識されておりますでしょうか。
本テーマでは、日銀が金融政策決定会合において政策金利を一・〇%程度に引き上げることを決定したことについて議論が行われました。論点としては、基調的物価上昇率が二%を超えて上振れるリスクを踏まえた緩和度合いの調整の是非、及びその判断根拠が中心となりました。氷見野良三副総裁(賛成、スコア0.75)は、原油高を起点とした価格転嫁の幅広い品目への波及や中長期予想物価上昇率の上昇を根拠に物価上振れリスクがあると説明し、緩和度合い調整の遅れが上振れリスクの顕在化や景気の下押しにつながるおそれがあるとして今回の利上げの必要性を述べました。また、供給ショックが一時的・特定品目にとどまる場合は金融政策での対応が適切でないとしつつも、賃金・価格設定行動の積極化等を踏まえ上振れリスクありと判断したとしています。稲葉大輔委員(中立、スコア0.50)は、今回の利上げが賃金物価好循環強化に伴う上振れリスクの未然防止を目的とした前向きな正常化かを質問しました。萩原委員は三十一年ぶりの一・〇%への利上げをデフレ脱却を経た経済正常化への一歩と評価しました。
日本銀行当座預金の超過準備への付利をめぐっては、河村委員が超過準備約450兆円への付利により銀行が利益を得ている構造を問題視し、批判的な立場から追及しました。これに対し氷見野参考人は、超過準備が多額な状況下で政策金利誘導目標を実現するために付利を行っていると説明し、同様の手法を海外中央銀行も採用していると述べました。スタンスデータでは、河村たかし委員が反対寄りの立場(スコア0.10)として示されており、その根拠として超過準備への付利で銀行が利益を得る構図への批判的追及が挙げられています。議論を通じて、付利制度の是非をめぐる論点と、政策金利誘導という制度目的についての説明がなされましたが、明確な結論・決定事項は示されていません。
こんなことをやって申し訳ないと思わぬですか、日銀は。
本テーマでは、日銀保有ETFの規模と処分方針、コーポレートガバナンスへの影響が議論されました。委員からは、日銀保有ETFが時価約94兆円(近藤委員によれば簿価37兆円、時価推計百兆円超)に上り、慎重な売却では完了に百年以上を要するとの試算が示されました。近藤雅彦委員はETF大量保有に問題意識を示し、平時の政策への回帰と長期的な売却を主張しました。大森江里子委員は、ETFの長期保有が日銀を「物言わぬ株主」化させ、企業のガバナンス改革を妨げているとの立場から批判しました。参考人からは、ETF買入れが2010年10月に市場の不安定な動きを防止する目的で開始された経緯が説明されるとともに、スチュワードシップ・コードを受け入れた委託会社を通じて議決権を適切に行使していること、売却局面では市場攪乱を避けるため金融機関から買入れた株式と同規模で少しずつ処分を進め、価格変動リスクには引当金計上等で対応する方針であることが説明されました。
本テーマでは、日銀法における物価安定目標と雇用最大化目標の位置づけの違いが論点となりました。河村たかし委員は、日銀法が物価安定を主目的としており、米国のような雇用最大化目標が直接の目標となっていないことが金融緩和の効果に影響しているのではないかと指摘し、物価安定のみを目標とする現行の枠組みを問題視して雇用最大化目標の追加を求める立場を示しました。これに対し氷見野参考人は、日銀法上、日本銀行は物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する役割を担っていると説明しました。両者の発言からは、物価安定目標と雇用最大化目標の位置づけの違いをめぐる論点が示されましたが、明確な結論や決定事項は示されていません。
国会が駄目だったら日銀の内部からやはり、もっと経済成長そのものにお金が回るように、そういう仕組みに変えてくださいと、物価の安定だけでは無理です、私たちは、というふうに言われたらどうですか。
本テーマでは、日銀法第二条の目的である国民経済の健全な発展との関係で、円安への対応を日銀の責任と捉えるべきかが議論されました。岡本三成委員はスコア0.75で、為替を物価安定目的の重要な柱として明言すべきと主張し、円が百六十一円八十銭まで売られ四十年ぶりの円安水準にあると指摘して危機感を表明しました。また、ドル円金利差は為替との相関が高くないとして、政府の財政政策への期待についてコメントを求めました。氷見野良三副総裁はスコア0.50で、為替コントロールは日銀の目的外としつつ、為替変動は物価に影響を及ぼしやすく予想物価上昇率を通じ基調的物価に影響し得ると説明し、財政運営は政府・国会の判断であり財政健全化への市場信認確保が重要であると一般論を述べました。牧野俊一委員はスコア0.00で、為替管理は日銀の所掌でないとし、円安是正を目的とした利上げ論に反対しました。
本テーマでは、物価安定と強い経済の両立方針と利上げによる成長ペース鈍化との整合性が論点となりました。牧野俊一委員は、成長ペース鈍化の分析をしながら利上げを行うことは、政府の物価安定と強い経済の両立方針と整合しないのではないかと質問し、利上げに対して批判的な立場を示しました。これに対し氷見野良三副総裁は、利上げ後も実質金利はマイナスであり緩和的な環境が維持されるため経済活動をサポートするとした上で、必要な調整が遅れることがかえって景気下押しにつながるおそれもあると答弁しました。この論点について、明確な結論や決定事項は示されていません。
成長や投資の足を引っ張る形での利上げという方向に動くことは、今、政府が掲げている、物価の安定と強い経済の両立という政府の基本方針がございますけれども、この基本方針とちょっと整合性が取れていないんじゃないか、特に強い経済という部分でですね。
本テーマでは、日本銀行が本年三月から特殊要因を除いた消費者物価上昇率試算値の公表を開始したことを踏まえ、物価指標の政策判断への活用の在り方が議論されました。峰島侑也委員は、コアCPI一・四%に対し特殊要因を除いた試算値が二・八%となっており一・四ポイントの乖離があることから物価基調の把握が困難であると指摘し、特殊要因を除いたCPIを独自に公表せざるを得ない状況自体が金融政策の判断材料を見えづらくしているのではないかと問題提起しました。これに対し中村理事は、基調的な物価上昇率を捉える単一の指標は存在せず、各種指標を総合的に判断する必要があると説明し、政府の物価高対策の影響でCPIが短期的に振れやすいことから制度要因を除いた指標も含め幅広く点検する必要があると述べました。氷見野副総裁は、制度要因を除いた消費者物価試算の公表について、基調的な物価の動きを把握するための分析努力の一環であると説明しました。
そもそも、今回、特殊要因を除いたCPIというものを独自に作成、公表せざるを得なくなったということ自体が、金融政策の判断材料を見えづらくしているんじゃないかというふうに感じております
本テーマでは、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇する好循環メカニズムの持続性について議論されました。氷見野良三副総裁(スタンス:賛成、スコア0.75)は、各種データ・ヒアリングからこのメカニズムは維持されているとし、中小企業を含む高水準の企業収益のもと、春季労使交渉で三年連続の賃上げが実現していると説明しました。一方で、原油高が企業収益・実質所得を下押ししているため、好循環の持続を丁寧に確認していく姿勢も示しました。これに対し、委員からは中小企業においてコスト上昇の価格転嫁と持続的な賃上げの体力が十分に育っているか不透明との指摘があり、近藤委員は地方・中小企業で人件費上昇と価格転嫁の間で苦慮する事業者が多いとして配慮を要望しました。
我が国では、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは全体として見れば定着してきているというふうに見ておりますが
本テーマでは、輸入物価・円安によるコストプッシュ型の物価上昇について議論が行われました。氷見野副総裁は、原油価格上昇がエネルギー・財価格を中心にCPIを押し上げ、伸び率が二%をはっきり上回る水準まで高まると予想しました。委員からは、内田副総裁の卸売物価プラス六・三%発言を踏まえ消費者物価への波及時期について質問があり、副総裁は企業間取引価格の動きから当初想定より速いスピードで進んでおり、夏頃に消費者物価への影響が出ると説明しました。また委員から、五月の輸入物価が円ベースで前年比二五・五%上昇し、円安起因のコストプッシュが物価上昇の主因であるとの指摘があり、副総裁はエネルギー・石油関連製品の価格上昇はコストプッシュ型で、財によっては円安の影響も含まれると説明しました。牧野委員は、現在の物価上昇が需要拡大よりコストプッシュ型が主因ではないかと質問し、氷見野副総裁はコストプッシュ型の面が大きいとしつつ、AI関連需要増による非鉄金属等の需要牽引型上昇も見られると述べました。牧野委員がコストプッシュ由来の物価上昇に利上げで対応する根拠を尋ねたのに対し、氷見野副総裁は供給ショックの規模・持続性、企業の賃金・価格設定行動の積極化等を踏まえ利上げが適当と判断したと説明しました。岡本三成委員は、足下の物価上昇を円安・輸入物価によるコストプッシュと明確に主張しました。
本テーマでは、千百兆円超の債務を抱える中での金利上昇による利払い費増加が財政に与える影響が議論されました。大森江里子委員は、利払い費増加が社会保障等の予算を圧迫し、増税につながる懸念を指摘しました。萩原佳委員は、日銀財政の悪化と国庫納付金減少が予算に与える影響について懸念を示しました。これに対し財務副大臣は、金利上昇・利払い費増加が政策的経費を圧迫し財政硬直化を招くおそれがあるとの認識を示しつつ、責任ある積極財政の下で成長率を高め、債務残高対GDP比を安定的に引き下げることで財政持続可能性とマーケットの信認確保を図る方針を説明しました。中谷真一委員は、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑える方針を肯定的に説明しました。高市内閣としても、責任ある積極財政の下、成長率の範囲内で債務残高の伸び率を抑え、対GDP比を安定的に引き下げる方針が示されました。
国家予算の中で利払い費の占める割合が増えると、本来回すべき社会保障、教育、科学技術といった予算が削られ、行政サービスの低下にもつながります。そして、それを補うための増税が必要になるという悪循環が始まるのではないかとの懸念もあります。
高市内閣では、責任ある積極財政の考えの下、強い経済を構築することで成長率を高め、併せて金利上昇に目配りすることで、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を確実に抑えていくことにより、債務残高対GDP比を安定的に引き下げ、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していく方針であります。
今回、仮に日銀の財政が悪化した場合、税外収入として毎年一兆円から二兆円規模で納められていた収入がなくなってしまうというところも含めて、予算に対する影響というのは非常に大きいのかなと思っておりますが
本テーマでは、金利上昇に伴う地域銀行の経営への影響と金融機関の健全性確保のあり方が議論されました。大森江里子委員は、金利上昇により預金金利が上昇することで地域銀行に逆ざやが発生するおそれがあるとともに、これに伴い地域企業への融資姿勢が慎重化する懸念があると指摘しました。この論点についての大森委員のスタンスは、健全性確保に慎重な立場からの懸念表明とされています。これに対し金融庁は、金融機関全体としては充実した資本基盤を有し総体として安定しているものの、一部の地域銀行には低利回りの有価証券を保有している先があると説明しました。その上で金融庁は、各金融機関に対しポートフォリオの調整や金利リスク管理体制の維持・確保を求め、引き続きモニタリングを継続していく方針を示しました。
預金金利が上昇することで逆ざやとなるため、経営体力が削られ、地域企業への融資姿勢が慎重になるおそれがあります。
本テーマでは、金融政策決定会合への政府出席者の対応と、それに対する政府の受け止めが論点となりました。財務省の中谷副大臣は決定会合に出席したものの、発言内容については日銀の公表に委ねるとし、議決延期請求は行わなかったと答弁しました。また、政府は日銀の利上げ判断について、二%物価目標の実現のために行われたものと受け止め、政府の経済政策と大きなそごはないとの認識を示しました。
本論点では、五月の十年金利急騰とベッセント米財務長官来日時の懸念表明が今回の金融政策判断に影響したのではないかとの質問が委員から出されました。これに対し副総裁は、市場動向は重要なシグナルとして注視しているものの、日々の動きが直接政策判断に結びつくわけではないと説明しました。また、海外当局との意見交換は積極的に行っているが、最終決定は日本銀行自身の判断であるとも説明しました。発言者のスタンスについては、岡本三成は長期金利急騰と米財務長官発言の影響を事実として指摘するにとどまり賛否は不明であり、氷見野良三も海外当局の意見は参考情報に過ぎず最終判断は日銀自身であると説明するのみで、立場は明示されていません。
利上げの是非やビハインド・ザ・カーブ回避、共同声明の見直し要否、国債買入れ減額計画をめぐっては委員間で賛否が分かれ、明確な統一結論には至りませんでした。氷見野副総裁は利上げ後も実質金利がマイナスで緩和的環境が維持されるとし、政府は日銀の判断について経済政策との大きなそごはないとの認識を示しました。
この要約はAI(自然言語処理モデル)を用いて生成しています。 要約の精度向上に努めていますが、解釈の違いや誤りが含まれる可能性があります。
必ず元の議事録本文もご確認ください。