参議院農林水産委員会は、食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案(いわゆる食料システム法案)の審査のため、農業法人代表の井村辰二郎参考人、農業経済学者の坂爪浩史参考人、京都大学名誉教授の新山陽子参考人の三名を招致し、法案の意義・課題・実効性について意見聴取と質疑を行った。
本会議での議論の要点をAIが要約したものです。
低所得者層の食料アクセス問題については、紙智子委員の質問に対して各参考人が見解を示しました。坂爪浩史参考人(中立寄り賛成)は「低所得者に対するこの農産物価格の問題というのは、何らかの形で直接給付という形をするしかない」と述べ、農産物価格の問題とは切り離した給付を提唱しました。新山陽子参考人(賛成寄り)は「賃金を引き上げる、最低賃金を引き上げるということが必要」とし、さらに「時間雇用じゃなく、きちんとした勤務ができるような雇用形態を増やした方がいい」と雇用形態の改善も求めました。井村辰二郎参考人は、農業者として全ての国民への安定供給を使命としながらも、低所得者への具体的な届け方については「私たちに力も知恵もなく」と述べ、国の仕組みとしての対応に委ねる姿勢を示しました。
私は、低所得者に対するこの農産物価格の問題というのは、何らかの形で直接給付という形をするしかないと思います。
そのためには、先ほど報告でも言ったように、賃金を引き上げる、最低賃金を引き上げるということが必要だと思います。
卸売市場の価格形成について、坂爪浩史参考人(中立)は「青果に関して言えば、現行の卸売市場流通でも十分コストに見合った価格形成というのはされていると思います」と評価しつつ、価格下落局面での農家の生産維持には政府の財政的支援が必要と主張しました。また、卸売業者の担当者が産地ごとの再生産コストを経験的に把握し、安定出荷産地を守ろうとする実態を紹介しました。新山陽子参考人(反対寄り)は、法案の卸売市場法改正部分について「開設者は農林水産省令で定めるところにより、次の事項を公表することとなっていて、これについても具体的に何をどうするかが分からない書き方になっています」と批判し、規定の不透明さを指摘しました。
井村辰二郎参考人(強く賛成)は、法案が「食品等の持続可能な供給を実現するため」という目的を持ち、取引の適正化と食品産業への支援の二本柱で構成されていると説明しました。「消費者への持続的な食料の供給を進めていくには、生産者のみではなく、間に入っていただく加工、製造、流通、小売が持続的な食料を供給するという共通の目的の下、一体となって取り組んでいくことが必要」と述べ、食品産業向け支援策を農業者の立場からも重要と評価しました。具体的な支援内容として、安定的な取引確立、流通の合理化、温室効果ガスの削減、消費者への情報伝達の四点を挙げています。
食品産業の皆様に向けた支援策は食料システムの一員である農業者としても重要なものであると考えております。
気候変動への対応については、寺田静委員からの質問に対し、井村辰二郎参考人(賛成寄り)が現場の実感を述べました。「ここ三十年でも相当気候が変わっているというのは現場で感じております」とし、米に心白が生じるなど農産物全般への影響を指摘しました。その上で「適応対策を取っていくということと、あと、根本的にやはりCO2を農業分野でも減らしていくということは私たちの法人経営のみんなは認識していて、頑張っていこうというふうに思っています」と表明し、「創意工夫しながら、いろんなイノベーションを起こしながら達成していけたら」と前向きな姿勢を示しました。
ですから、米に心白ができたりとか、やはりそれはもう全ての農産物、家畜も含めて、農業者が感じていることで、それに対してしっかり適応対策を取っていくということと、あ...
消費者理解の醸成については複数の参考人が発言しました。井村辰二郎参考人(強く賛成)は、日本農業法人協会主催の体験型イベント「ファーマーズ&キッズフェスタ」を紹介し、SDGsが教科書に掲載されてから消費行動の変容が顕著になったと述べました。また「倫理的消費行動」として、応援消費や多面的機能を評価した購買行動が広がりつつあるとし、「消費者と中に入ってくださる方を通じて、バリューチェーンを通じてやっぱりコミュニケーションを取っていく」フェーズに入ると期待を示しました。一方、新山陽子参考人(賛成寄り)は「購買力持つには賃金の引上げが必要」と述べ、消費者理解の前提として所得向上が必要と主張しました。
コスト指標の作成と運用については、三参考人がそれぞれ異なる観点から発言しました。井村辰二郎参考人(賛成寄り)は「コスト指標を活用しながら農産物の販売に取り組んでいけると考えております」と農業者の価格交渉ツールとしての意義を積極的に評価しました。坂爪浩史参考人(中立)は基準価格としての意義を認めつつ、「指定品目ごと、産地ごとの単収の正確な把握はできるんだろうかということが私はちょっと心配」と述べ、特に産地が頻繁に替わる野菜への実効性に懐疑的な見方を示しました。新山陽子参考人(中立)はフランスのフォーミュラ方式と対比し、法案では「労働費をどう把握してどう評価するのかも書かれていませんし、それから減価償却(の扱いも)書かれていません」と規定の不明確さを指摘し、実効性が不透明と批判しました。
直接支払制度については、複数の場面で議論されました。坂爪浩史参考人(賛成寄り)は「再生産価格は民間の自助努力で頑張ってくださいというのではなくて、政府の直接的な関与によって実現するべき」と主張し、収入保険の算定基準を合理的な費用に基づくものに変えることを提案しました。新山陽子参考人(賛成寄り)は、フランスがエガリム法制定以前からすでに直接支払制度を設けており「まず直接支払をやっていて、それで足りない部分をどうするかでエガリム法が作られた」と説明し、「適正な価格形成だけではちょっと対応できないんじゃないか」として日本でも直接支払制度の検討が必要と主張しました。
米価格高騰と備蓄米放出については、寺田静委員からの質問を中心に議論されました。井村辰二郎参考人(中立)は、備蓄米放出について「価格が崩れてしまうんじゃないかと心配をしている生産者もいますし、一方、これ以上消費者のお米離れが広がらないように、ある程度市場が冷静になった方が今後の自分たちの持続可能な経営につながると、本当にいろんな声がある」と農業者間でも意見が割れている実態を紹介し、「需要に合った量をしっかり作っていこう」という方向性を示しました。坂爪浩史参考人(賛成寄り)は、令和の米騒動が各家庭の備蓄増加によるものとの見方を示しつつ、「価格低落時において再生産価格での政府の買入れとか、あるいは今もうすっからかんになりつつある備蓄の積み増しとか、こういったことをきちんとやっていただきたい」と価格低落局面での政府対応を求めました。
能登の農業復興については、井村辰二郎参考人(賛成寄り)が冒頭の意見陳述で詳しく説明しました。「四月に石川県発表の今年度の水稲作付け予想面積は、震災年の昨年より更に百ヘクタール減る千七百ヘクタールの作付けの見込み」であり、震災前の二千八百ヘクタールから千百ヘクタール減る見込みであると報告し、「思ったような農業の復興復旧は進んでおりません」と述べました。また質疑では、被災農業機械への九割助成措置に感謝しつつも、農地が減少したため機械をフルに活用できず、「経営継続というところで収入保険も災害にはなかなかマッチしない」と課題を指摘し、継続的な支援を求めました。
しかしながら、四月に石川県発表の今年度の水稲作付け予想面積は、震災年の昨年より更に百ヘクタール減る千七百ヘクタールの作付けの見込みとなっております。
農業経営体の確保と担い手問題については、井村辰二郎参考人(賛成寄り)が意見陳述の中で「農林水産省の資料によると、趨勢ベースでは農業経営体が二〇二〇年の百八万経営体から二〇三〇年には五十四万体まで半減し、経営規模の拡大がない場合では二〇二〇年と比べて約三割の農地が利用されなくなるおそれがある」との予測を引用しました。「我が国農業は、担い手の確保や農地の持続において存在の危機にあると私自身認識しております」と述べ、食料システム法案が「農業が若者の将来就きたい職業の第一位となるような、そうなるためには必要なもの」と位置付け、担い手確保に向けた法案の必要性を主張しました。
食料システム法案は、我が国農業を一層発展させ、農業が若者の将来就きたい職業の第一位となるような、そうなるためには必要なものであると考えております。
農業統計の課題については、舟山康江委員の質問に対し新山陽子参考人(賛成寄り)が詳しく述べました。「農水省は統計情報部すごく減らしてしまったし、コストをしっかり把握してないのが多い」と指摘し、特に米については「労働時間を把握しなくなっているようですね」と、コスト把握体制の後退を問題視しました。「コストを反映した価格形成というふうな方向になっていますので、もう一度そこを見直した方がいい」と述べ、「労働時間などをしっかり把握して、それもコストに加えられるようにする」ための体制整備を求めました。農水省の統計情報部が単独で担うのか、関係機関と連携するのかも含めて検討が必要と提案しました。
そこは今コストを反映した価格形成というふうな方向になっていますので、もう一度そこを見直した方がいいと思いますね。
農業機械の価格高騰については、紙智子委員の質問に対し井村辰二郎参考人(賛成寄り)が具体的な実態を述べました。「私が就農した頃から、例えば稲作のコンバインでいうと、大体倍から三倍ぐらいの価格になっています。一方、米価はずっと下がっていまして」と指摘し、「全国の仲間から、やはり高過ぎると。仮に助成金が入ったとしても、なかなか再生産できるようなコスト計上できるような価格ではない」と問題を強調しました。その上で「農業機械については法人協会としても大変問題意識を持っております」と述べ、「機械、あと肥料、農薬、こんなものが下がるような仕組み、これも並行して取り組んでいただければ」と要望しました。
是非、やはり適正な価格で私たちも作るために、そのコストですよね、機械、あと肥料、農薬、こんなものが下がるような仕組み、これも並行して取り組んでいただければうれし...
価格転嫁に関する協議会の議論については、井村辰二郎参考人(賛成寄り)が自ら協議会メンバーとして参画した経験から発言しました。「適正な価格形成に関する協議会のメンバーとして食料システム法案の検討に参画してまいりました」と説明し、協議会には消費者代表や流通代表など様々なステークホルダーが集まり「日本の農業がなくなるということに対してはやはり危惧なさっていて、やはり日本の農業は必要だということを込めて、やっぱり農業者は持続可能な価格で販売しなきゃいけないよね」という建設的な議論がなされたと紹介しました。また、農業法人協会の調査で「八八・九%の会員はコスト上昇分を一〇〇%転嫁できていない」との実態と、交渉自体を拒否された事例を示し、価格転嫁が農業者の重要課題であると主張しました。
転嫁できていない会員からは、転嫁できない理由として、交渉を求めましたがその交渉すら受けてもらえなかった、あるいは、交渉したが一方的に断られた、実需サイドのバイイ...
野菜生産における労働力不足については、坂爪浩史参考人(賛成寄り)が詳細に説明しました。「一番大きな原因は、北海道について言えば労働力不足が原因ということになります」と述べ、「加工・業務用の野菜については、大体産地に行きますと需要量の半分ぐらいしか作れていないという。つまり、あと倍作っても全然売れるんだけれども、作れない」と指摘しました。労働力不足の構造については、規模拡大農家の労働力の給源だった兼業農家が「もう完全に枯渇し切っている状況」にあり、「家族経営のレベルでも十分な集約的な野菜を作る労働力」が収穫期に不足していると分析しました。ブロッコリーが伸びている地域が都市近郊に限られる事実も示し、農村地域での労働力確保の困難さを強調しました。
一番大きな原因は、北海道について言えば労働力不足が原因ということになります。
本法案については、三参考人が異なる立場から評価を示しました。井村辰二郎参考人(強く賛成)は「売手である農業者は取引の交渉において長らく弱い立場におりました。この法案は、農業者が食料を安定的に国民に供給するためにも必要なものであり、大変画期的なものだと考えております」と高く評価しました。坂爪浩史参考人(中立)は基準価格としての意義を認めつつ、野菜への実効性について「実効性は私はほとんどないと思います」と懐疑的な見方を示し、価格下落時の補填算定基準としての活用を提案しました。新山陽子参考人(反対寄り)は「この法律の内容が読んでも非常に分かりにくいんですね、何がどうなるのか」と述べ、コスト指標の作成方法、誠実協議の具体的内容、卸売市場法改正の透明性など多くの点で規定が不明確であると批判しました。フランスのエガリムⅡ法と対比し、日本の法案が具体性を欠くと指摘しました。
食料システム法に基づくコスト指標の作成と運用については、三参考人が異なる角度から論点を提示しました。井村辰二郎参考人(賛成寄り)は「認定団体がコスト指標を作成することとなっており、これにより、農業者は自らのコストを把握しつつ、コスト指標を活用しながら農産物の販売に取り組んでいけると考えております」と前向きに評価し、農業者が価格交渉の根拠を持てることへの期待を表明しました。坂爪浩史参考人(中立)は基準価格としての意義は認めつつ、「指定品目ごと、産地ごとの単収の正確な把握はできるんだろうか」と指摘し、特に産地が入れ替わる野菜についての把握困難を問題視しました。新山陽子参考人(中立)はフランスの専門職業間組織(インタープロフェッショナルオーガニゼーション)の事例と対比し、日本では類似の組織整備と予算確保が課題であると述べ、また法案のコスト指標規定では労働時間・減価償却の扱いが明確でなく不十分と指摘しました。
三参考人はいずれも農業者のコスト転嫁が困難な現状と生産基盤の脆弱化を共通の問題認識として示しつつ、法案への評価は分かれた。井村参考人は法案を農業者の交渉力強化に向けた画期的な取り組みとして強く支持した一方、坂爪参考人は価格下落局面での政府の直接的関与と財政支援の必要性を、新山参考人は法案の規定の不透明さと、フランスのエガリムⅡ法を参照した上での直接支払制度の検討、統計体制の整備など多面的な課題を指摘し、法案の実効性確保に向けた具体化が今後の重要課題となることが示された。
この要約はAI(自然言語処理モデル)を用いて生成しています。 要約の精度向上に努めていますが、解釈の違いや誤りが含まれる可能性があります。
必ず元の議事録本文もご確認ください。
○参考人(坂爪浩史君) 北海道大学大学院農学研究院の坂爪と申します。本日はよろしくお願いします。 このような機会を設けていただきまして、大変光栄に存じます。 私の資料は四ページ物になっておりますけれども、タイトル「説明資料」とありますが、内容的には価格変動と需給調整ということをめぐるお話をさせていただきまして、直接法案についてどうこうということでないものになっておりますので、あらかじめ御了...
| モデル | Claude (Anthropic) |
|---|---|
| 要約方式 | 抽出+要約 |
| 対象範囲 | 議事録 全文 (約51,281文字) |
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