本会議では国旗損壊罪法案について、百地章・江藤隆之・野村修也・志田陽子の4参考人による意見陳述と質疑が行われました。百地・野村両参考人は法案に賛成の立場を示し、江藤・志田両参考人は構成要件の不明確さや表現の自由・思想良心の自由への侵害懸念から慎重ないし違憲の可能性を指摘しました。論点は、非親告罪化の是非、自己所有国旗への適用と財産権、ヘイトスピーチ解消法との片面性、私人逮捕の運用と萎縮効果、保護法益としての国民感情や社会の分断防止、内心不処罰と憲法十九条との関係、合憲性審査基準、立法事実の妥当性、芸術表現該当性など多岐にわたりました。高山委員、畑野委員、森ようすけ委員、後藤祐一委員、川裕一郎委員、横田委員、安藤委員がそれぞれの観点から質問を行いました。
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全16テーマ ・ 紐づく質疑22件
国旗損壊罪における構成要件の明確性と表現の外形的判断基準
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今回の法案は、国旗損壊罪を非親告罪として制定しておりますので、まさにその点に存在意義があるというふうに考えられます。
本テーマでは、外国国旗にはヘイト規制がある一方、日本国旗を用いた日本国民全体へのヘイト行為は処罰対象外であるという片面性が論点となりました。野村修也参考人は、ヘイトスピーチ解消法附帯決議で日本人へのヘイトスピーチも許されないと確認されていることや、外国人と支援団体による日本国旗を用いたカウンター行為の危険性を挙げ、同法が2016年制定時から外国人への片面規制であり、国民に対するヘイトの最たる例として国旗損壊を規制する立法上の必要性があると主張しました。これに対し高山委員は、国旗損壊とヘイト行為の関係や社会的害悪の立法事実該当性について質問しました。志田陽子参考人は、ヘイトスピーチ的利用については現行のヘイトスピーチ解消法の枠内で対処すべきであり、新設の規制は不要であると回答しました。両参考人の見解は対立しており、明確な結論には至っていません。
本テーマでは、国旗損壊罪における構成要件の明確性と表現の外形的判断基準について議論が行われました。百地章参考人は、法案が行為の外形や周囲の客観的事情の総合勘案を要件としている点、及び表現の自由を不当に侵害しないよう留意する第三条の規定を評価し、公然性の有無等の外形的規制により表現の自由を侵さず厳格な運用が可能と説明しました。野村修也参考人も、第二条第二項が外形・客観的事情による総合判断を明記し内心と処罰が切り離されると説明し、捜査機関は主観に立ち入らず外観に基づき判断すべきと述べた上で、条文は客観的行為状況で認定可能としてこのタイミングでの施行も容認する立場を示しました。一方、江藤隆之参考人は、公然と人に著しく不快・嫌悪の情を催させる方法という要件が曖昧で罪刑法定主義上問題があり、客体規定も国旗の制式から外れるものを含み不明確になると指摘し、誰が見ても悪質という社会通念が存在せず、成立前に条文へ基準を明記すべきで施行後の運用基準では懸念は消えないと述べました。志田陽子参考人も、見る人の主観で発端が生じる要件は定義として限定困難で罪刑法定主義に反すると指摘しました。森ようすけ委員は、総合勘案規定を抑制的解釈のための条項と認識しつつ、一般通常人の基準が曖昧である点を指摘しました。
御指摘のとおり、本法案における不快、嫌悪というのは、どこまでなのか、どこからなのかが曖昧であり、刑罰法規が備えるべき明確性から逸脱していると考えます。
ここで不快感、嫌悪感というものを構成要件に含めている現在の案は、憲法違反、憲法二十一条を不当に狭めるものであるという判断が出てくる可能性が高いと考えております。
公然とということによって、段階、野村先生は局面とおっしゃいましたけれども、そういう段階に応じてきちんと整理することによって、厳格な適用、運用というのが可能になるかと思っております。
今回は、客観的に考え、その中で条文に込められている意味をちゃんと理解した上で解釈をすれば、このタイミングで施行させても大丈夫なのではないかなと。
本テーマでは、国旗損壊罪における私人による現行犯逮捕の判断基準と、それに伴う人権侵害・萎縮効果への懸念が議論されました。江藤隆之参考人は、基準が不明確なまま運用されると一般国民に萎縮効果をもたらし得ると指摘し、正当な逮捕は最終的に認められないとしつつも通報の広がりの可能性はあると回答しました。志田陽子参考人は、不快感や嫌悪感を根拠とする現状の構成要件では過剰包摂を絞り込むことが困難であると指摘し、コロナ禍における相互監視の経験を挙げ、正義感からの通報濫用が危惧されると述べました。畑野委員は、私人逮捕により市民同士が監視し合う息苦しい社会になるとの懸念を質問しました。両参考人とも私人逮捕の運用や監視社会化について慎重な立場から懸念を示しました。
国旗損壊罪の保護法益については、複数の立場から議論がなされました。百地章参考人は、保護法益は国民感情のみならず国旗に象徴される国の威信と名誉も含むべきであり、国家の尊厳・名誉という法益は器物損壊罪の財産的法益とは異なるものと説明し、国旗保護立法の必要性を主張しました。これに対し、江藤隆之参考人は感情法益の曖昧さを指摘し、国民感情のみでは保護法益として不十分であると主張しました。志田陽子参考人は、国家は生身の人格を持たないため不快感を法益として保護することに憲法上の必要性はないと主張しました。また、野村参考人は、国旗はヘイト行為の手段となりやすく社会の分断防止こそ保護法益になり得るとし、国旗は国民のアイデンティティーと結びついた特別な道具であり、その損壊は全国民への侮辱に及ぶと説明しました。
国旗損壊罪をめぐっては、内心不処罰と憲法十九条が定める思想・良心の自由との関係が論点となりました。百地章参考人は、行為者の意図・目的を問題としない構成は思想・良心の自由との関連を避けるためと推察した上で、内心の自由の侵害と制約は区別されるべきであり、本法は思想の強制等には当たらず問題ないと説明し、賛成の立場を示しました。野村修也参考人も、外形的判断により内心そのものは処罰しておらず思想・良心の自由を侵害しないと主張し、国旗を嫌う内心自体は許容されるべきであり、それを強要する法律であってはならないと述べ、賛成の立場を取りました。一方、志田陽子参考人は、警察の取調べ中に政治信条へ踏み込まざるを得ない事態が生じ得ることから十九条の問題が生じると指摘し、九条俳句事件最高裁判決を挙げて特定信条への肩入れには十九条にも配慮すべきと述べました。畑野君枝委員は、内心不処罰であっても侵害は生じるとし、違憲立法として廃案にすべきとの立場を示しました。
本テーマでは、国旗損壊罪に関する刑法改正の審議手続きと施行時期の妥当性が論点となりました。後藤祐一委員は、刑法改正は通常法制審議会に付託されるものであるにもかかわらず、成立から二十日後の施行では議論が不十分ではないかと問題提起し、法制審への付託を主張して施行時期の拙速さを批判しました。これに対し江藤隆之参考人は、法制審議会等の場で目的と適用範囲を固める議論を行うべきとして同意を示し、法案成立前の要件明確化を求めるなど、慎重な手続きを重視する立場を示しました。両者とも法制審議会での十分な議論の必要性という点では一致しており、施行時期の設定や審議プロセスのあり方が主な論点として取り上げられました。
国旗損壊罪の合憲性審査基準を巡り、後藤委員が二重の基準論や明白かつ現在の危険の原則を踏まえ、違憲立法か適用違憲かを4参考人に質問しました。百地参考人は、規定が器物損壊的行為の外形に着目しており精神的自由への直接の踏み込みではないため問題ないとし、丁寧な構成要件・運用規定により正しく運用されれば違憲訴訟が起きても問題ないとの見解を示しました。江藤参考人は、他人物損壊については合憲もあり得るとしつつ、自己所有物損壊の処罰には違憲の疑いがあると指摘し、また付随的違憲審査制の下では実際の立件がなければ違憲判決は出ないと説明しました。志田参考人は、国民の不快感・嫌悪感の保護を根拠とする部分は憲法二十一条・十四条に照らし違憲の可能性が高いとし、精神的自由の規制にはコンペリングな高度の必要性が求められるが現状はそれが不足していると指摘しました。森委員も違憲訴訟リスクの有無について百地参考人・野村参考人に見解を質問しました。
国旗損壊罪の立法事実の妥当性について、既存の器物損壊罪・外国国章損壊罪との関係を中心に議論が行われました。百地章参考人は、自己所有国旗の損壊は器物損壊罪で罰せられず外国国章損壊罪とのバランスを欠くと指摘し、G7の米仏独伊に国旗損壊罪があることや、沖縄国体・富山大学・鹿児島集会・参政党演説・岩国市・横浜市議会での事例を立法事実として挙げ、将来の危険性への対応も予防的立法として可能と説明し、賛成の立場を示しました。江藤隆之参考人は、他人所有国旗は器物損壊罪、侵入は建造物侵入罪等で既存法により対応可能であり、法案が独自の意味を持つのは自己所有国旗を穏当に損壊する場合のみで立法事実の説明が不十分と主張し、外国国章損壊罪の有罪確定例が約120年で1件のみである点や、他人所有国旗の場合に器物損壊罪より刑が軽くなり得る逆効果も指摘しました。野村修也参考人は、比較法的観点から他国での立法事実を根拠にでき、独仏の事例や器物損壊罪が親告罪である点を挙げて賛成しました。志田陽子参考人は、国旗損壊の事実のみでは立法事実として不足し、実害には内乱罪等の既存法で足りると主張しました。森ようすけ委員は過去事例が器物損壊罪で処理されている点や予防的立法事実の妥当性について質問しました。
本テーマでは、国旗損壊罪を自己所有の国旗に適用することと財産権との関係が論点となりました。百地章参考人は、参政党への抗議事例において自ら持参した自己所有の国旗が用いられたが、これは器物損壊罪では対処できないと説明し、国旗損壊罪の制定が必要であると述べ、賛成の立場を示しました。
したがって、自ら持ってきた自己の所有する国旗に対する損壊ですから、まさに器物損壊罪では対処できないような事例もありますから、まさにこの国旗損壊罪でもって対処するしかないケースだと思いますので、速やかに、こういった場合に対応できるように法律を制定していただきたいと考えております。
国旗損壊罪の表現の自由に対する萎縮効果をめぐり、参考人の間で見解が分かれました。江藤隆之参考人は、起訴に至らない場合でも表現の萎縮が生じ、法律家が国旗パフォーマンスを控えるよう助言することや、立件できない事案でも通報が生じ警察実務に負担がかかることを指摘しました。志田陽子参考人は、主観的な不快感で通報が可能となり取調べだけで表現活動が不可能になること、個別除外規定の乱立が定義の不明確化と萎縮効果の強化を招くこと、過剰包摂により深刻でない表現にも取調べや萎縮が及ぶ問題を排除できないことを指摘し、通報濫用や施設の使用許可取消しなど萎縮効果が既に芸術表現の現場で生じているとして、2023年の「宮本から君へ」最高裁判決を萎縮効果を理由に公的機関の判断を違法とした例として挙げました。これに対し野村修也参考人は、条文に表現の自由尊重条項があり警察もまず表現侵害の有無を検討すると説明しました。スタンスとしては、志田参考人と江藤参考人が懸念を表明する立場、野村参考人と百地章参考人が懸念を否定する立場を示しました。
それゆえ、本法律が保護されるべき政治的表現の自由の侵害に当たらないことは、間違いないと考えております。
様々な、それほど深刻ではない表現についても警察の取調べが及んだり萎縮が及んだりする部分については、いわゆる過剰包摂と言われる問題がつきまとう。この法案には、それが排除できない問題として出てくると思います。
選挙演説のところに反対の方が自己所有の日の丸にバツ印を掲げても処罰するという趣旨の法律案なのであれば、それは相当に憲法違反の疑いが高いだろうと考えております。
現に存在している侮辱罪との関係でいけば、謙抑的な法律であって、憲法違反だと言われる余地はないのではないかというふうに考えている次第であります。
本テーマでは、国旗損壊罪を非親告罪とすることの是非について議論が行われました。野村修也参考人は、器物損壊罪が親告罪であるため所有者の許しによって不起訴となり得る点を挙げ、一私人の告訴の有無によって問題が終わるのは実態に合わないと指摘し、これを国旗損壊罪を非親告罪化する存在意義として説明しました。野村参考人は非親告罪化の必要性と立法事実の存在を明確に主張しており、賛成の立場を示しています。
それを、一私人の告発するか否かによってこの問題が終わってしまうというのはやはり実態に合わないのではないかなというふうに思いますので、そういう意味では、既に器物損壊で処理されている事案があるということは、立法事実は既に存在していると考えていいんじゃないかなというふうに思っています。
本テーマでは、国旗損壊罪法案からインターネット上での予告配信に関する処罰規定を削除する経緯について議論が行われました。安藤委員は、非親告化やインターネット上の動画・生配信のみを適用対象とする運用上の線引きについて野村参考人に質問しました。これに対し野村参考人は、生配信のようにその場で不快な行為を拡散し続ける事態を処罰対象として想定すべきであると回答しました。一方、百地参考人は、映像を通じた伝達は現場での行為に比べて衝撃度が緩和されるため、規制対象から除外することは評価できると述べました。百地参考人のスタンスは、映像除外を表現の自由の観点から評価しつつ、要件のあり方には留保を示すものでした。
したがって、表現の自由を保障するという立場から一応除外したということは、私は評価していいんじゃないかなというふうに思っております。
本テーマでは、芸術表現と国旗損壊罪の関係について議論が行われました。志田参考人は、芸術表現を除外する運用面での不安を挙げ、公人の発言によって現代芸術が萎縮していると指摘しました。野村参考人は、過去に作成された作品の表示は表現行為として最大限尊重されるべきと述べました。後藤委員は、政治的・芸術的表現に当たる場合は三条の留意規定により原則処罰対象外とすべきと主張しました。これに対し江藤参考人は、三条の留意規定は実質的な意味を持たず、ドキュメンタリー等と主張されれば処罰不能になり得ると指摘しました。また百地参考人は、映像作品も放映段階では規制対象外となる一方、公然と毀損する撮影現場行為自体は対象になり得ると説明しました。
議論は賛否両論が並立したまま明確な統一結論には至りませんでした。江藤参考人は廃案を含む慎重な議論の必要性を、志田参考人は将来の憲法訴訟で違憲と判断される可能性が高いとの見解を示し、畑野委員も違憲立法として廃案を主張しました。一方、百地・野村両参考人は法案の必要性と合憲性を主張しました。
上記テーマに分類されなかった質疑応答です。
この要約はAI(自然言語処理モデル)を用いて生成しています。 要約の精度向上に努めていますが、解釈の違いや誤りが含まれる可能性があります。
必ず元の議事録本文もご確認ください。
○山下委員長 ありがとうございました。 次に、江藤参考人にお願いいたします。